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大ゴッホ展の内覧会へ。クレラー=ミュラー美術館長が語る見どころ、限定グッズまで徹底紹介
ゴッホが“ゴッホになっていく”前半生をたどる展示は必見です!
いよいよ福島県立美術館で『大ゴッホ展』が開幕しました!休館日を挟む最初の1週間(6日間)で計1万8536人と多くの方々が来場し、SNS上でも注目されているのがわかります。
私たち編集部は、開幕前日に行われたマスコミ向け内覧会に参加してきました。
ゴッホが“ゴッホになっていく”前半生をたどる展示、想像以上によかったです! ゴッホの芸術の原点、そして彼のあたたかな眼差しに触れられる展示内容になっていて見逃せません。

この記事ではマスコミ向け内覧会と開会式の様子を振り返り、クレラー=ミュラー美術館・館長のメッセージや、改めて実物を観て感じた大ゴッホ展の見どころ、展覧会グッズなどをたっぷりご紹介します。
目次
ゴッホの成長を時系列でたどる展示
開会式には、駐日オランダ王国特命全権大使、クレラー=ミュラー美術館館長が参加され、福島県知事、福島市長をはじめ関係者約70人が出席。華やかにテープカットが行われ、福島会場での会期がスタートしました。

今回の第1期では、クレラー=ミュラー美術館所蔵の貴重な作品が計74点、ゴッホ作品57点のほか、ゴッホが影響を受けたモネやルノワールの作品も展示されます。
クレラー=ミュラー美術館のベンノ・テンペル館長は、今回の展示の最大の特徴は、ゴッホのアーティストとしての成長を時系列で観ることができる点にあると話しています。

クレラー=ミュラー美術館 ベンノ・テンペル館長
クレラー=ミュラー美術館 ベンノ・テンペル館長から、来場者と福島県民へメッセージをいただきました。
「オランダ時代の暗い色彩と硬い構成から始まって、パリに移ってからは印象派やポスト印象派の影響を受けて色彩が非常に鮮やかになっていき、パリでやっと自分のスタイルを見つけていくその様子が、展示を見ておわかりいただけるでしょう。
その結果は、来年開催される第2期の展覧会で観ることができると思います。
ゴッホの人生は非常に苦悩に満ちたものでしたが、その苦悩や葛藤を芸術に昇華させることによって、自分自身も描くことで癒され、そしてたくさんの人々に慰めを与えることができたのではないかと思います。
彼の作品が持つ『慰め』と『希望』の力が、震災15年の節目を迎える福島の人々に届くことを願っています」
では、改めて展示作品を観ていきましょう。
入口から夜のカフェテラスの世界に没入
まず入口を入ると、プロジェクションマッピングで「夜のカフェテラス」が映し出されています。その手前には石畳が描かれたスロープが。
ぜひ、その上をゆっくり歩いてみてください。

街の喧騒や行き交う人々の足音、馬車が石畳の道を近づいてくる振動……、まるで絵の世界に入り込んだような没入感があり、展覧会の入口にぴったりな企画です。
貧しい農民や生活の道具などを何度も描いたオランダ時代
内覧会では、先日のゴッホ展解説記事でお話を伺った同館学芸員の濱田さんから、主な作品の解説がありました。
オランダ時代の展示では、暗い色調で描かれたゴッホの「農民画」が多数紹介されています。
ゴッホはバルビゾン派のなかでも特にミレーを尊敬しており、「ミレーのような農民画家になる」と27歳のときに画家になる決意をしました。そして、これまでの美術界ではあまり主題にされてこなかった貧しい農民に向き合い、何度も繰り返し描いています。

「暗闇の中にこそ光がある」
ゴッホといえば、今展覧会の目玉である「夜のカフェテラス」のほか、のちの後半生で描かれた「星月夜」「ひまわり」などの鮮やかな色彩とダイナミックな筆遣い、それが“ゴッホらしさ”で、初期のオランダ時代の作品は暗くて地味なのでは……と思っていました。
しかし実際見てみると、農民たちの顔や慎ましい生活、織物を織る様子などを何度も描いているその眼差しにやさしさを感じ、ゴッホ前半生の絵を見ることができてよかったと心から思いました。

諸橋近代美術館にも、ゴッホが描いた白い帽子をかぶった農婦の絵がある
濱田さんは「ゴッホは『暗闇の中にこそ光がある』と考えていました。これがオランダ時代の一つの特徴であり、彼の芸術の一つなのです」と説明してくれました。
この前半生があっての、後半生。今回観ておくと、来年開催の第2期で作品の魅力をさらに深く味わえると思います。
筆遣いを浮かび上がらせる展示照明のこだわり

このオランダ時代の暗い色使いの作品を観ていて、絵具の盛り上がりがきらきら輝いて筆遣いが一層よくわかるような……と思い、濱田さんに伺うと、今回照明には特に力を入れているとのこと。
クレラー=ミュラー美術館 館長からも「照明が素晴らしい」とのお墨付きをいただいたそうです。
生身のゴッホを間近に感じさせる筆遣いにも注目して、ぜひ角度を変えて見てみてください。
パリを経て、アルルへ。そして『夜のカフェテラス』が誕生
パリ時代は、印象派の影響を受けたゴッホが、明るい色遣いを自分のスタイルにしていく期間でした。
当時は絵のモデルを雇うお金がなかったため、弟のテオと暮らしながら、花や自画像を描いて絵の勉強をしていました。


そしてゴッホは、さらに明るい光と鮮やかな色彩を求めて、アルルへと移ることになります。
そのアルル時代の傑作『夜のカフェテラス』。

ゴッホが35歳のときに描き上げた作品で、夜の闇を黒ではなく青色で表現した「黒のない夜の絵」。ゴッホは実際に夜、この場所で直接描いたのだそうです。
青色と黄色の鮮やかな対比が美しく、思わずふらふらと引き寄せられてしまう強烈なオーラを放っています。間近で見ると筆のタッチも生々しく、ゴッホの手の動きまで感じるようでした。
ポスターや広告で私たちはこの絵を何度も目にしていますが、本物をこの目で見る体験にかなうものはありませんよね……。素晴らしかったです。
音声ガイドや、子ども向けの解説パネルにも注目
福島県立美術館では今回、いくつかの作品に子ども向けの解説パネルが用意されています。
かわいいイラストは佐藤ジュンコさんの手によるもの。ゴッホくんと、じゃがいもくんがわかりやすく解説してくれています。
(今展覧会は、次世代を担う子どもたちの豊かな心を育むため、福島県内の高校生以下の方は無料です。ゴッホ作品の本物を間近で見られる貴重なチャンス、ぜひ多くの子どもたちに見てほしいですね)

綾瀬はるかさんの音声ガイドもぜひ聴いてほしい
今回、音声ガイドもお借りしました。福島にゆかりのある俳優の綾瀬はるかさんが、ナレーションで協力してくれています。
作品の背景や想いが伝わる内容で、ぜひ借りることをお勧めします。
聴いていてふと、背後に流れる音楽がベートーヴェンのピアノソナタ第8番「悲壮」の第2楽章だったことに気づきました。
深い悲しみと救い、透き通るような美しさをたたえたこの曲は、ベートーヴェンが聴覚障害の絶望の中、その悲しみを乗り越えようという不屈の精神を表現した名曲と言われています。
描いた絵がなかなか評価されず苦しい生活の中、それでも絵を描き続けたゴッホの人生に重なるような選曲に、綾瀬はるかさんのやさしい語りも相まって、より一層心に染みるようでした。
限定品もあり! 約130点のミュージアムグッズ
魅力たっぷりの大ゴッホ展、会場で販売されているミュージアムグッズも見逃せません!
福島会場限定の青い「まめべこ」、夜のカフェテラスの服をまとった「ミッフィー 夜のカフェテラスぬいぐるみ」、食べ終わった後の缶もかわいい「夜のカフェテラス缶」(アーモンドクッキー入り)、名画が表紙になったRollbahnのノート、クリアファイル、タオルハンカチなどなど……、どれもかわいくて、ついあれこれ買ってしまいました!

ミッフィー 夜のカフェテラスぬいぐるみ。欲しい気持ちにあらがえず、小さいほうをゲット

大ゴッホ展オリジナルの「まめべこ」も大人気

ロルバーンの手帳も人気

ゴッホの顔がアップになっているポーチ?が気になる……

食べ終わった後の、かわいい缶の使い道を考えるのが楽しみ!
私はミッフィーのぬいぐるみ(小)と、クリアファイル、片手サイズのポーチなどをゲットしましたが、あとから写真をよく見返すと「これも欲しかったな〜」というグッズがたくさんありました。これから行かれる方はお見逃しなく。
街なかも「ゴッホ飯」で賑わってます!
SNSでも福島の「ゴッホ飯」が話題になっています。大ゴッホ展と同時開催のこの企画、福島の料理人たちが、ゴッホの名画にインスパイアされた特別なお料理を作って、皆さんをおもてなししています。


質素な食生活を送りながら、『ジャガイモを食べる人々』で働く人々の営みと食への深い敬意を描いたゴッホ。そんなゴッホへの思いを込めて、じゃがいもと玉ねぎをメインにした一皿や、鮮やかな青と黄色で仕上げたメニュー、お菓子など、たくさんあって迷ってしまうほど。
現在約70店舗が参加していて、新しいメニューも続々登場しています。
大ゴッホ展の前に立ち寄ってムードを高めるもよし、鑑賞後の感動を胸にお店を訪れるもよし、ぜひ「ゴッホ飯」を味わってください!
※ 「ゴッホ飯を食べるのに、美術館のチケットが必要?」と心配している方、なくても普通に注文できますのでご安心を。
地元や県内の方はもとより、大ゴッホ展の鑑賞を機に多くの方に福島にお越しいただき、感動と楽しい時間を満喫していただけたら嬉しいです。






