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桃を食べて、巡って、知って楽しむ。5周年を迎えた「ふくしまピーチホリデイ」の歩み
桃をきっかけに福島市を楽しむ観光キャンペーンを知り尽くそう
福島市の夏を桃色に染める観光キャンペーン「ふくしまピーチホリデイ2026」が、7月15日から始まりました。
2022年にスタートしたふくしまピーチホリデイ(以下、ピーチホリデイ)は今年で5年目。これまでにテレビや新聞、Webメディアなどでも取り上げられ、少しずつ知名度を広げてきました。
参加する飲食店や各施設からも、「ピーチホリデイをきっかけに来店してくださるお客様が増えた」という嬉しい声が多く寄せられています。
ピーチホリデイの5年間は、ただ桃を食べる企画から、巡る・体験する・知る・一年中楽しむ観光コンテンツへと育ってきた歩みでもあります。
今回の記事では、5周年を迎えた節目に、これまでの取り組みを振り返ります。
目次
2019‐2020年|福島市来訪者アンケートがピーチホリデイのきっかけに


福島市来訪者アンケートの結果、「福島市で思い浮かべる『名物料理』を一つ挙げてください」という質問と「福島市で思い浮かべる『お土産』を一つ挙げてください」という質問に対し、いずれも「無し」と回答した方が回答項目の中で一番多く、特産品が認知されていないことが浮き彫りになりました。

一方で、「福島市」で思い浮かべる「くだもの」を「もも」と回答した方が9割を超え、桃の認知度が圧倒的に高いことがわかりました。
観光案内所に寄せられる「桃の産地なのに、桃を食べられる場所が少ない」という声

福島市は全国有数の桃の産地。夏になると、市内の果樹園や直売所には、旬の桃を求める人たちが訪れます。
しかし、かつては観光客から「桃の名産地だから福島市に行けばどこかで桃を食べられると思っていたけれど、どこに行けばいいかわからなかった」という声もよく聞かれていました。
2021年|桃のキャンペーン開催に向けて準備
高い認知度もあり、桃の産地なのにも関わらず、なぜ桃が食べられる場所がないのか?を深堀りしていくと、桃の生産者や飲食店など事業者双方の課題がわかってきました。

桃は傷みやすく、扱いが難しい果物です。収穫期間も限られるため、飲食店や宿泊施設にとっては、仕入れや保管、メニュー開発に手間がかかる面もあります。
また、果樹園では収穫期の人手不足による収穫の遅れや、傷・形の不ぞろいなどで市場に出しにくい規格外桃の扱いも課題になっていました。
そうした桃をめぐる課題を、観光の楽しみに変えようと始まったのが、ピーチホリデイなのです。
人手不足で「桃を届けられない・買いに行けない」を解消!
福島市観光コンベンション協会が、桃の配送を希望する果樹園と事業者を募り、事業者が希望する数量を取りまとめ、果樹園への発注ならびに配達業者へ集荷・配送手配を行うことにし、地域内に桃が循環する仕組みを整えていきました。

2022年|桃を街なかで味わう仕組みがスタート
初年度の2022年は市内の飲食店や観光事業者56店舗が参加し、桃スイーツやドリンク、一品料理など72メニューが登場。参加店を巡ってシールを集める「シールラリー」は、桃メニューを楽しみながら福島市内を回遊するきっかけになりました。
この年は、降ひょう被害を受けた桃や、規格外の桃を活用したことも大きな特徴です。見た目に傷があっても美味しい桃が、正当な価格で流通し、スイーツや料理に生まれ変わることで、農家支援やフードロス削減にもつながりました。
「桃を買う」だけではなく、カフェやレストラン、宿泊施設でも桃を楽しめる。初年度のピーチホリデイは、福島市での桃の新たな楽しみ方を広げる第一歩となりました。

ふくしまピーチホリデイ2022で開発された桃メニューの一例
また、ピーチホリデイ2022の裏側を伝える記事として、観光ノートでは配送業者と飲食店の双方にインタビューを実施。配送支援が始まったきっかけや、福島の桃を取り巻く課題、規格外の桃を活用して売上を伸ばしたお店の工夫なども紹介しています。
新たに見えてきた課題
当初は、果樹園が取り扱いに困っていた規格外の桃を中心に配送支援を行いました。しかし実際に運用を始めると、届いた桃が店舗のメニューに合わないケースが発生したのです。
例えば、ひょう被害に遭った桃は外見に問題がなくても内部が打ち身で褐変していたり、熟しすぎて調理に適さなかったりと、現場での扱いづらさが浮き彫りになりました。

ぱっと見ではわからないが、ひょうの被害を受けた桃

外見からはわかりにくくても中が打ち身に
生産者は「初めてのことで、ひょう被害が桃の実にどのような影響を及ぼすか」「事業者がどのような桃を求めているのか」がわからず、事業者も「どんな桃が届くのか」がわからない状態でした。
メニューによって、桃の硬さや傷の許容範囲は大きく異なります。そこで発注書に「どのようなメニューに使うか」を明記し、煮込み料理用ならC規格、パフェ用ならA規格というように、状態を分類することにしました。
これにより、生産者側も希望に合わせた桃を出荷しやすくなりました。
しかし今度は、「規格外の桃」に対してさらに細かな規格を設定しなければならないという、新たな課題が生じることになります。
桃のシーズンは1年に一度きり。改善すべきポイントは見えたものの、解決策の実行は翌年以降へと持ち越されることとなりました。
2023年|桃を「食べる」から「体験する」へ
2年目の2023年は、桃スイーツや桃ドリンクに加え、桃狩り宿泊プラン、桃の葉風呂、桃染め体験、桃の種を使った漢方薬など、少し変わった桃体験も登場しました。
前年はこれまで例のないひょう被害に見舞われ、丹精込めて育てた桃が売れないという現実を目の当たりにしました。「実が売れなければ収入がない」という生産者の厳しさを痛感させられた出来事です。
異常気象が日常化しつつある昨今、工業製品ではない桃は常に天候のリスクと隣り合わせにあります。そこで「実」以外でも生産者の収入につながる仕組みを作れないかと考えるようになります。
地元の事業者に協力を仰ぎ、桃の葉を温泉の「桃葉湯」として活用してもらったほか、冬の剪定で出た枝を草木染めの染料に、種を漢方の生薬として提供するなど、実以外の新たな価値を地域とともに創出する一年となりました。

土湯温泉の「御とめ湯り」では、「変わり湯」として桃の葉風呂が登場
さらにキャンペーン特設ポータルサイトがオープンし、参加店の情報や桃メニューを紹介。現在地から近くのお店を探せる機能も加わり、福島市を初めて訪れる方でも気軽に参加店を周遊しやすくなりました。
この年には、多数のテレビ番組やメディアでもピーチホリデイが紹介されるようになり、少しずつ「福島市の夏といえば桃!」というイメージが広がってきたことを実感できる年にもなりました。
2024年|エリアが広がり、「推し品種」を楽しむ視点も誕生
3年目を迎えた2024年は、取り組みに共感してくれた桑折町など、近隣エリアの事業者や生産者にも参画いただき、エリアが大きく拡大。桃パフェや桃のどら焼き、桃づくしのコース料理、桃のクラフトビールなど個性豊かなメニューが揃い、県北エリアの桃産地が連携した一大キャンペーンへと成長を遂げました。
この年の大きなトピックは、「ももまみれ図鑑&MAP」の誕生です。
アンケートに寄せられた「福島の桃は品種が豊富なので、単に“桃”とするのではなく、品種ごとの違いを知りたい!」という多くのお客様の声。この熱い想いに応えるため、県北エリアの女性生産者グループ「ふくしま農業富女子会」の皆さんにご協力いただき、品種ごとの特徴や栽培エピソードを伺いました。
「桃はまるで娘のよう」という生産者の愛情に寄り添い、福島市在住のイラストレーター ico.さんが代表的な8品種を魅力的に擬人化。収穫時期や味わい、レア度などを手のひらサイズの小冊子にまとめ、参加店巡りのマップとしても活用いただきました。
これまで「桃」とひとくくりに語られがちだった福島の桃に、「品種ごとの違いを楽しむ」という新しい視点が加わり、自分だけの“推し桃”を探すという新たな楽しみ方が生まれています。

手のひらサイズの「ももまみれ図鑑&マップ」
さらに、2024年秋には、福島市松川町の「カンパイバル」を会場に「果樹加工勉強会・意見交換会」が全3回で開催されました。ピーチホリデイを通じて参加店より寄せられた「桃の一次加工品があるとメニューの幅が広がる」という声を受け、加工に興味はあるがなかなか踏み出せずにいた果樹農家や製菓店、旅館、レストラン、福祉事業者などが参加。
フルーツピューレを使った商品開発や、業種を超えた課題共有・連携の可能性を探りました。こうした取り組みは、桃を旬の時期だけでなく、より長く楽しんでもらうための土台づくりにもつながっています。
2024年は、ピーチホリデイが「巡る楽しみ」に加え、「品種を知る」「果物を活かす」視点へと広がった年といえます。お客様からも、「お店はたくさんあるので現地での出会いが楽しみ」といった声が寄せられるなど、参加店を巡る楽しさが広がっていきました。
お客様アンケートの声と生産者の声がアイデアの源
多くの方に参加いただけるようになった「ふくしまピーチホリデイ」ですが、一方で「こんな素晴らしいキャンペーンがあったなんて知らなかった。もっと周知してほしい」という声、特に地元・福島の方々からの声を多くいただくようになりました。
広く届けるにはどうすべきか模索する中、生産者からは次のような話を聞きました。
「桃の時期は多くのお客様で賑わうようになったけれど、福島で他のくだものも穫れることをまだ知らない方が多い」
「桃を目当てに訪れたお客様が、梨やぶどう、りんご、さくらんぼなども作っていると知り、リピーターになってくださるケースが増えていて本当にありがたい」
“桃”という最大の強みをきっかけに、福島市のこと、そして一年を通して実る多様なくだものの魅力を知っていただくためには、どんな周知がベストなのか——。
これらの課題と生産者の想いを受け止め、2025年、「ふくしまピーチホリデイ」はさらなる進化に向けて大きく舵を切ることとなりました。
2025年|夏限定から、一年中楽しむキャンペーンへ
4年目を迎えた2025年、「ふくしまピーチホリデイ」は大きな転換点を迎えました。
これまでは7〜9月の桃シーズンを中心に開催し、秋冬は「アップルホリデイ」として展開してきましたが、2025年からは年間を通した開催へと大幅にリニューアル。「Summer Edition」(7〜9月)の桃を皮切りに、秋の梨やぶどう、冬のりんご、春のいちご、さくらんぼと、一年を通じて福島の旬のフルーツを楽しめる仕組みへと進化しました。
また、利便性向上に向けて「デジタルスタンプラリー」と「デジタルマップ」を新導入。好評の「ももまみれ図鑑&MAP」もコンテンツを拡充し、品種ごとの魅力や味わいの違いをより深く楽しめる内容へとアップデートしました。
さらに同年の大きな挑戦として、子どもたちへのアプローチもスタート。福島市子どもの夢を育む施設「こむこむ」の主催により、“ざんねんなくだもの”をテーマにした親子向けワークショップを開催しました。

桃の色づきを良くするための反射シートを片付ける農作業体験
参加した子どもたちは、2日間の農作業体験や桃狩り、図鑑作りを通じて、見た目だけでは計れない果物の本当の価値や、農家の皆さんの丹精込めた仕事について学ぶ貴重な機会となりました。

イラストレーターのico.さんが図鑑の作り方をアドバイス
このようにピーチホリデイは、観光客だけでなく地域の子どもたちにも福島の果物の魅力を伝える取り組みへと進化しています。
通年開催となってからは、桃シーズン以外にも福島の桃を楽しめる取り組みが広がっています。たとえば、大ゴッホ展などのアートイベントと連携した桃のホットドリンクの提供や、映画『免許返納!?』とのタイアップ企画など。
桃をきっかけに、福島市の観光スポットやロケ地巡りへつながる企画も次々と生まれています。
2026年|5周年! 今年も福島市で“桃にまみれる”旅を
そして2026年、ピーチホリデイは5周年を迎えました。前年に続き通年開催となり、夏の桃を皮切りに、秋・冬・春と季節ごとの福島産フルーツを楽しめる企画として展開されます。
さらに今年は「混雑を避けてスムーズにお店を巡りたい」というお客様の声にお応えし、試験的に桃の期間のみ、スマートフォンでリアルタイムの混雑状況が確認できる新機能「混雑状況ナビ」を特設サイトに導入しました。2026年は試験的に9店舗の混雑状況をご確認いただけます。
また、参加店を2店舗巡ってスタンプを集めると、福島市内の指定宿泊施設で使える宿泊補助券5,000円分が、抽選で60名様に当たるデジタルスタンプラリーも継続。アンケートで寄せられた声をもとに、より快適に楽しめるキャンペーンへと進化を続けています。

参加店舗のリアルタイム混雑状況をWEBで確認(パソコンで表示した際の画面例)
次の5年に向けて ——「福島市の桃テーマパーク化」を目指す
「近い将来、福島の桃の生産量が全国1位になるかもしれない」
最近、生産者のみなさんとの会話の中で、そんなワクワクする言葉を耳にするようになりました。
楽しむことが、未来の農業を守る力に
私たち「ふくしまピーチホリデイ」は、お客様に「楽しく美味しく味わいながら、福島の桃の“今”を知っていただく機会」をもっと増やしていきたいと考えています。
目指すのは、「福島市全体の桃テーマパーク化」!
街のどこに行っても桃にまみれ、思いっきり楽しむだけで、自然と桃や農業のリアルな情報がアップデートされていく——。そんな仕組みを皆さんと協力しながら作り、かけがえのない1次産業を守り続けていくことが私たちの願いです。
「ふくしまピーチホリデイ」がこれからも息長く愛されるキャンペーンであり続けるために、ぜひ皆様のお声をアンケートで聞かせてください。
桃をきっかけに、福島市を巡る旅へ

ピーチホリデイはこの5年間、参加店やお客様の声を取り入れながら、少しずつ形を変えて育ってきました。
桃メニューを味わうだけでなく、品種を知る、参加店を巡る、果樹園や温泉地で体験する、季節を変えて楽しむ。福島市だからこそ出会える数々の体験が旅の目的となり、街なかや果樹園、温泉地、飲食店、観光施設を巡るきっかけになっています。
通年開催で365日、いつでも桃をはじめとするくだものを楽しむだけで地域の課題解消の一端を担える、ふくしまピーチホリデイ。今年の夏は、5周年を迎えたピーチホリデイで、福島市ならではの桃の魅力を味わってみませんか!
未来の農業を守るために
今、現場で大きな課題となっているのが「茶箱(家庭用・訳あり品)」をめぐる問題です。
「福島の桃は安くて美味しい!」という評判が広がり、直売所や道の駅は茶箱を求めるお客様で連日行列となっています。しかし、この茶箱での販売は、生産者にとって「廃棄するよりは、赤字でも食べてもらいたい」という苦渋の選択なのです。
「決して、茶箱の桃を作りたくて作っているわけではないのだけれど……」
そう思いながらも、地元の方や遠くから来てくださったお客様に喜んでほしい一心で、今日も笑顔で美味しい桃を届けてくれています。
農家の皆さんがこれからも安心して生産を続けられるよう、応援をよろしくお願いします!










