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福島市の特産品「桃」の価値を地域全体に広げる〜ピーチホリデイ2022の裏側(配送支援編)

長く続いた「桃の課題」をどう解決するか

観光ノートでは、この夏、大きな成果があった「ピーチホリデイ2022」の裏側を2回にわたってお届けしています。

さて、2022年の福島の桃シーズンもいよいよ終わりを迎えようとしています。ピーチホリデイ2022はお楽しみいただけましたか?

市内各地の飲食店や宿泊事業者のご協力で、街のいたることろで桃スイーツや料理が並んだ夏でした。新聞、テレビ、Webメディアにも多数取り上げられ、市民のみなさん、そして来訪者の方々も例年以上に桃を楽しまれたのではないでしょうか!

「フルーツ王国ふくしまなんだから、桃メニューが揃うのは普通じゃないの?」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、答えは「NO」。なぜなら、これまで福島市には、密かに抱えていた「桃の課題」があったのです。

福島市が抱えていた「桃の課題」

全国2位の桃生産量を誇り、消費量においてはダントツ1位の福島。そんな桃王国ふくしまですが、福島市の観光推進という観点から見ると「市民や来訪者」「飲食店や宿泊施設」「果樹園」それぞれに課題がありました。

「市民や来訪者」から見た福島の桃

私たち福島市観光コンベンション協会(DMO)が、福島市民や市外から旅行に来た方々からアンケートを取ったところ

  • 桃の産地だから福島市に行けばどこかしらで食べられるだろうと思って来たけど、桃が食べられるところが少ない…
  • 福島市のグルメってなんだろう? せっかく来たけど何を食べたらよいか、何を買ったらよいか、ご当地グルメやご当地土産がいまいちわからない…
  • 地元を紹介しようにも何もないとしか言いようが…

などの意見が3割近く集まりました。たしかに郊外に行けば桃狩りができる観光果樹園は多くありますが、福島駅周辺や温泉施設などではシーズンでも桃を見かける機会は多くなかったですよね。

「飲食店や宿泊施設」から見た福島の桃

 

そこで市内の飲食店や宿泊施設に、桃メニュー商品化の意見を伺ったところ

  • せっかく桃の産地だから使いたいけど、買いに行く時間も人手もない…
  • 桃は足が早くて保存がきかないので買い置きができず使いにくい…
  • 今年のひょう被害など、農家さん支援をしたいと思いつつ、どこにどう声をかけたらいいかわからない…
  • 地元の人は「桃はもらうもの」という認識だから、桃メニューにお金を払ってくれるだろうか…

という意見や不安が集まりました。そうなんです、桃の最大の難点はとてもデリケートな果物だということ。皮を剥いたそばから変色してしまうし、傷むのも他のフルーツと比べて早いんですよね。

「果樹園・生産者」から見た福島の桃

さらに果樹園にもお話を伺ってみると

  • 天候に左右され、収穫時期は一気に果樹が実ってしまうため、収穫で忙しくて人手不足。
  • 少しでも傷がつくと通常価格で販売できない。来年の作物を作るための準備資金が作れない。
  • 自分で加工まで手が回らず自社で6次化は厳しい。
  • 家庭用桃として販売できる分は自分の直売所で、それでもさばき切れないので知り合いにあげたり、県外の加工業者へタダ同然で渡してしまう。

という農家が直面している実情が明らかになりました。

今年は特に6月の降ひょうによる被害が多く、味は変わらないのに規格外となってしまった桃が大量に出てしまっていたのです。

※スーパーなどで販売できる野菜や果物には“規格”という形や色などの基準が定められていて、規格に満たないものは“規格外”となり、はねだし品として通常価格では出荷できなくなってしまうんです。

市民の皆さんや観光に来た人々の「桃を楽しめるところが少ない」という印象の打開には、この果樹園や飲食店が抱えている課題の解決が必要です。

そこでピーチホリデイ2022では“傷桃や形が不ぞろいで規格外となってしまった桃に価値を付けて福島市内を循環させる仕組み”を作ることにしました。

桃の配送支援で市内循環! 桃で地域をつなぐ試み

これまで県外の加工業者や知り合いにタダ同然で流れていた規格外の桃。そうなっていた原因の1つが、果樹園と飲食店・宿泊施設をつなぐ配送の仕組みがなかったことです。

今回、この課題を解決するために市内に循環させる役割を担ってくださったのが、軽貨物を営む個人事業主が集う協同組合「赤帽」の方々です。

配送を担当した一人、赤帽アルペンの代表・後藤寛治(ごとうかんじ)さん

飲食店や宿泊事業者が注文した果物を果樹園に受け取りに行き、福島駅周辺から高湯・土湯の温泉街や郊外など市内広範囲を回って、朝採れの新鮮な果物を毎日直送してくださいました。

ある日の配送風景。ミナモカフェの店員さんへフレッシュな桃をお届け

配送に携わった方の一人、赤帽アルペンの代表・後藤寛治(ごとうかんじ)さんは「私は根っからの福島の人間なので、福島のフルーツに対する思いは強いのです。こうして自分のできることで携わり、役立つことができて嬉しいですね。農家さんが一生懸命育てた果物を飲食店さんに繋ぐということは地域の活性化となることなので、やりがいがありました」とお話しくださいました。

つながりによって、桃メニューが一気に増える

このように桃の配送支援の仕組みができたことで、果樹農家と市内の飲食店・宿泊事業者がつながり、福島市の桃に好循環が誕生しました。

そして今回のピーチホリデイ2022では、こんなにたくさんの桃メニューが福島の夏を飾ってくれました。

ここにあるのはほんの一部。載せきれないほどの桃メニューが新たに誕生しました

桃メニューや桃コンテンツ開発には福島市内64もの事業所が賛同し、手を挙げてくださいました(昨年は18事業所だったので3倍以上です!)。

飲食店のインタビューはこちら
規格外品の桃を人気メニューにする工夫〜ピーチホリデイ2022の裏側(飲食店編)

また、あづま果樹園の吾妻正一専務からはこんなコメントをいただきました。

「今年は特に6月の降雹で傷ついた果物が多く、通常の販売ができずに規格外となった桃が大量に出てしまいましたので、こういう取り組みが非常に助かりましたし、今後の良い流れを作る足がかりになるのではないかなと感じました。多くの方々に取り組みを知ってもらって、今後は参加する果樹園や事業所がさらに増えていけばいいなと思います」

あづま果樹園 吾妻正一専務

フルーツで地域がつながる福島市へ

人口減少や少子高齢化などによって、経済の縮小や労働機会の減少が大きな課題となっている今、地域のサービスや文化を維持・成長していくためには、地域全体の理解と協力が必要です。

ピーチホリデイは1つのきっかけに過ぎませんが、今「ひょう被害の果樹園の力になりたい」「規格外の果物に付加価値をつけて販売したい」「加工品に挑戦してみよう」「福島の魅力である果物に関わっていきたい」などなど、フルーツでつながる輪が少しずつ広がっています。

福島のフルーツは、桃の次も梨、りんごとまだまだ続きます。

まもなくアップルホリデイ2022もスタートする予定です。どうぞお楽しみに。

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