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農産物から「規格」をはずしたい〜カリスマ農業女子が自分の畑を持つまで

「夢のコラボ桃パフェ」誕生までのリアルタイムストーリーVol.1

いよいよ2021年の桃のシーズンを迎え、福島市では早生(わせ)品種の「はつひめ」がスーパーや直売所に並んでいます。

でも、「福島は桃の産地だけど、いざ食べたいと思っても、市内飲食店で桃のメニューを食べられるところが少ない」という声をよく聞きます。確かに、郊外の果樹園まで足を伸ばせばたくさん桃はありますが、駅の近くで桃や桃のメニューを食べられるところはごく限られています。

そこで福島市観光コンベンション協会では、昨年の朝ドラ「エール」に関連する商品開発のお手伝い「フリーランスプロジェクト」を行った実績から、今年は市内事業者の皆様の桃メニュー開発のお手伝いを行っています。観光ノートでは、そのいくつかをリアルタイムでご紹介していきます。

第一弾は、こだわりの桃生産者と世界的なパティシエによる「夢のコラボ桃パフェ」。

「フードロスをなくす」をテーマに、昨年から自身の畑「Berry’s garden Farm」で桃栽培を行っている農業女子のカリスマ景井愛実(かげいまなみ)さん。

そしてフランスの星つきレストランでシェフパティシエをしたあとリッツカールトン東京やティエリー•マルクス銀座でも修行をするなど世界的なスキルを持つ「パティスリーエクロール」のオーナーパティシエ鈴木智絵(すずきちえ)さん。

このお二人のコラボレーションによる夢の「桃パフェ」誕生までを、3回に渡ってお送りします。

第1回:  農産物から「規格」をはずしたい〜カリスマ農業女子が自分の畑を持つまで(この記事)
第2回:  夢の「福島桃パフェ」プロジェクト〜「パティスリー・エクロール」鈴木智絵さん
第3回:  ついに完成!夢のコラボ桃パフェ

結婚をきっかけにアパレル業界から農業へ

まずは、農業女子・景井さんの取組について、ホームページ”Berry’s garden”から抜粋してご紹介します。

“流通や店頭で販売を行う場合は、お客様に安心や見える価値を提供する必要があり、「規格」が生まれます。
それにより、その「規格」に該当しないものは食べていただくことがそもそもできないことも多い現状もあります。
もちろん、流通は無くてはならない大事なものです。 しかし、自然の影響が大きく「規格外」の方が多くなる状況で、わたしたちはもう一度、農産物の価値を考えていきたいと思うのです。
だからこそ、Berry’s garden Farmでは、その「規格」を設けることで起こるフードウェイスト(& Foodloss)を無くすことを目指して、日常的に「贈答用」や「家庭用」などの「規格」をつくらないことにしました。 色や形にとらわれず、畑ありのままの農産物を知っていただきたいのです。
Berry’s gardenでは、「畑が誰かの大事な庭である」という想いのもと、”food loss and waste”に一次生産現場で向き合うこと、農産物の価値を考えることを大事にしていきます。”

色や形にとらわれない、畑のありのままの農産物を提供する農業をやりたい。 そこに至った理由は何なのでしょうか。(聞き手:熊坂仁美 /福島市観光ノート編集長)

<景井  愛実さんプロフィール > Berry’s Garden代表。2007年、福島県の果樹農家に嫁ぎ”農家の嫁”として義両親の営む「景井農園」に携わる。東日本大震災をきっかけに「農業」と向き合い、活動をスタート。昔ながらの農家のあり方も尊重しつつ、美容関係やアパレル職の感性から、2017年に「Berry’sGarden」として加工商品開発・発信部門の展開へ独立。福島に住む母として女性として、福島の農産物に新しい視点を加えた製品を生み出してきた。2020年からは、商品にならない果物を廃棄せざるを得ない生産現場でのフードロス問題に取り組むため、自らの畑「Berry’s Garden」で桃の栽培をスタート、2021年夏、初収穫を迎える。

熊坂:景井さんはもともと農業に興味がおありだったのですか?

景井:いいえ、前職までは農業とは縁遠いアパレルや美容業に携わっていました。夫の実家が果樹農家ではありますが、夫はサラリーマンですので、私も農業をやることは考えてはいませんでした。そんな中、(夫のご両親との)同居をきっかけに家事育児のかたわらお手伝いをするようになり、農業の世界に入っていきました。

熊坂:現在は、フードロスへの取組みに力を入れられていますが、そのきっかけは。

景井:畑を手伝い始めた当初から、果樹畑の隅に山盛りに破棄されていく果物を見てきました。これはウチの畑だけではなく、どの畑でも起きていて…。愛情を込めて大切に育ててきた果物たちが、誰の口に入ることもなく破棄されていくさまをみて、なぜこんなことが起こってるんだろう?と疑問に思ったことがきっかけです。

熊坂:消費者の目に入らないところで、そんなに破棄されていく現実があるんですね。

景井:果物だけでなく野菜等も同じですが、流通や店頭で販売をする為には、お客様に安心や見える価値を提供する必要があるので「規格」が生まれます。この規格から外れてしまった農産物は行き場を失ってしまうんです。

熊坂:スーパーなどに並んでいる果物や野菜は、どれも形や色が綺麗なものばかりですものね。

景井:果物は自然の物ですので、色や形はもちろん、味も大きさも1つ1つ違います。美味しく食べられる物でも、形がゆがんでいたり、傷があったりすると、どうしても規格からは外れてしまいます。

フードロスの解決策を模索

甘味たっぷり、美しく実った景井さんの「はつひめ」。

熊坂:フードロスのための取組は、ほかにもされているのですか。

景井:震災後は風評被害解決に向けてのPR活動を行なったり、市場には乗らない果物も美味しいと思ってもらえるようスムージーアドバイザーの資格を取得して、ワークショップやイベント等も行なって、破棄される果物の活用の道を模索してきました。

熊坂:とてもアクティブに活動されていますよね。

景井:はい、おかげさまでたくさんの方のサポートや協力を得ながら、これまで順調に活動することができました。ですが、フードロスの観点からみると、常に生の果物を確保できないことや、ワークショップでは一度に伝えられる人の数に限界があることに壁を感じるようになって。

熊坂:果物の旬はほんの一時期ですものね。

景井:そうなんです、そこで季節を問わず果物が楽しめるように加工品のプロデュースをしたり、飲食店のコーディネートやレシピ開発をしたりと活動を展開していったのですが、ビジネスとなればコスト重視にならざるを得ませんから、フードロス解決のアプローチとしては課題が残りました。

原点に戻り、畑からスタート

景井:そんな中、ひとつ感じたことがありました。

熊坂:なんでしょうか。

景井:スーパーや飲食店などの提供側ではなく、それを消費する側に果物の価値を理解していただければ、結果的にフードロス解決につながるのかなと。

熊坂:自分が買うものがどんな農作物なのかを気にするような、消費者側の意識改革が必要ということですね。

景井:はい、気候変動の影響で「規格外」の方が多くなる状況がこれからますます続くので、私たちはもう一度、農産物の価値を考えていくことが大切だと感じました。

熊坂:そして取り組まれたのが、今回のBerry’s garden Farmですね。

景井:そうです。一周回って、畑という原点に戻ってきました(笑)。農産物の価値を考えていくにあたって、やはり消費者の方に現場に来てもらうのが一番だと思い、2020年の9月から、自分の桃畑を始めました。

熊坂:その桃畑で、どんなことをされるんですか?

景井:今年が初収穫なので、まだ未知数な部分もありますが、色や形にとらわれず畑ありのままの農産物を知っていただけるように、7月には自分で桃の収穫を行っていたく収穫祭イベントや、“畑のありのまま”をおうちにお届けする配送プランを企画しています。Berry’s garden Farmは“みんなの畑”なので、他にもパートナーやサポーターも募集しています。「目の前にある農産物が貴重で尊い」ということをみんなが一緒に感じられる場所にしたいと考えています。

サスティナブルな働き方、生き方

熊坂:自分で農業をやるとなると、ワークスタイルにはかなり変化があったのではないでしょうか。

景井:約10年果樹農家のお嫁さんという立場で手伝いの経験があるとはいえ、正直、経験や知識はまだまだ。なので日々、近くの農家さんや仲間の農家の皆さんにサポートやアドバイスをもらい、助けてもらいながらやっています。

熊坂:週にどのくらい働いているのですか。

景井:さすがに収穫期の今は毎日スケジュールがびっしりですが、それ以外はだいたい週に3日くらい畑で働いています。これまでもオンラインを使っての仕事が多かったので、作業の合間にパソコンをしたり、雨の時に事務仕事をやったりと、もともとの仕事と組み合わせながらできているので、コントロールできています!

熊坂:なるほど、新しい形の兼業農家ですね。

景井:そうですね!今後は「メインが農業じゃないけど、木を3本だけ持ってるよ!」「自分の食べる分だけ畑持ってるよ!借りてるよ!」という人が増えていく方が、フードロスも結果的に減っていくと思うし、最終的には日本の農業は守られていくんじゃないかと思っています。

熊坂:オーナー制度みたいな感じですか?

景井:近いですね!

熊坂:コロナの影響で働き方や生き方を見直している人も多いと思うので、そのような働き方・生き方に興味がある人は多そうですね。

景井:「農業は大変」というイメージが強いですし、実際に大変です。それがゆえに後継者や担い手不足は日本の農業の大きな課題です。ですが、管理は知識や経験値を持てるベテランの方にお願いし、体力的な部分は自分や自分の友達とかと行ない庭を作っていくようにできたら、可能性は広がっていくんじゃないかなと思っています。

熊坂:自分の畑を持ってみて、いかがですか?

景井:日々、自然と向き合うことで、改めて農業の課題と素晴らしさを実感しています。そして不思議と、人生の目的や生き方までもが明確になってきています。

「桃でリトリート」しに畑に来てほしい

観光ノートYouTubeチームのマキとチヒロとともに

熊坂:最後に、1番好きな桃の食べ方を教えてください!

景井:やっぱりそのままの桃が好きですが、おすすめは桃モッツァレラサラダ!絶妙に美味しいんです。

景井さんが畑で作った「桃モッツアレラサラダ」。

熊坂:是非レシピ教えてください〜!

景井:もちろんです!おうちで一人でおつまみとして食べても良いですし、都会の若い女性達が疲れた心や身体の癒しを求めて南国とかに行かれていますが、桃畑をおしゃれな空間にして風を感じながら桃モッツァレラを食べる…のような、リトリートしに福島に来たくなる、そんな可愛いくて素敵な世界観も作りたいな〜と、色々妄想中です!

熊坂:色々楽しみです。お忙しい中ありがとうございました。

※桃モッツアレラサラダのレシピをぜひご覧下さい。

Berry’s Garden

Berry’s Garden online shop

Instagram @manamiberry

熊坂仁美

編集長

熊坂仁美

福島市出身。慶應義塾大学文学部卒。専業主婦として2児を育てたあと2005年にITライターとして活動を開始。2010年、日本初のFacebookビジネス書『Facebookをビジネスに使う本』(ダイヤモンド社)を上梓。2013年に母の介護のためUターン。2018年よりデジタルマーケティングアドバイザーとして「福島市観光ノート」立ち上げに加わり、2020年、編集長に就任。ヤフーニュース個人オーサ—。

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