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「じょーもぴあ宮畑」で縄文の魅力を体験!

発見者が地元に残してくれた土偶を通して、3000年前この地に暮らした縄文の人々に思いを馳せる

いよいよ夏休み! さらに今年8月には福島市内で「縄文シティサミット」が開催されることもあり、縄文遺跡を展示する「じょーもぴあ宮畑」を取材してきました。

「縄文時代」にどんなイメージをお持ちですか? 今回、詳しい説明を聞きながら見て回ったことで、命やものを大切に扱い、「足るを知る」豊かな精神を持った人々の時代だったのだとわかり、縄文に対するイメージが大きく変わりました。

大人も子どもも楽しめるので、ぜひ行ってみてほしいです! その際は「ガイドボランティア」さんの説明を聞きながら一緒に鑑賞することをお勧めします。お子さんの夏休みの自由研究にもぴったり。

さらに今回、じょーもぴあ宮畑に展示されている土器の中でも目玉といえる重要文化財「しゃがむ土偶」の出土場所である「上岡遺跡」にも行ってきましたので、ご覧ください。

じょーもぴあ宮畑ってどんなところ?

じょーもぴあ宮畑は、福島市岡島にある縄文遺跡「国史跡 宮畑遺跡」を整備した公園で、2015年8月に開園しました。まもなく10周年を迎えます。
復元した竪穴住居や掘立柱(ほったてばしら)建物群、発掘された土器の展示などを通じて、縄文時代中期から晩期までの約2千年間にわたる縄文の人々の暮らしを、今に伝える施設です。

宮畑遺跡は東北地方南部を代表する集落だったと考えられており、極めて重要な遺跡であることから、平成15年に史跡指定されています。

公園に隣接して体験学習施設(愛称:じょいもん)があり、ここでは縄文土器や土偶、石器などの出土品や資料の展示をはじめ、火おこし体験や勾玉作り、土偶作り、コースター作りなど、子どもたちが楽しく参加できるイベントを開催していて、縄文の魅力を子どもたちが学ぶきっかけ作りに一役買っています。

今回の取材には、所長の齋藤義弘さんが対応してくださいました。
当初、施設の成り立ちから順にお話を……などと考えていたのですが、ホールに展示されていた縄文土器の解説から怒濤の流れで展示室へ(笑)。そのまま1時間半、楽しいお話でたっぷり縄文文化の魅力を教えていただきました。

小学生の頃、縄文の歴史についてこんなふうに楽しく語ってくれる先生がいたらと思わずにはいられません。

巨大な掘立柱建物群と、竪穴住居

では「じょーもぴあ宮畑」について、詳しくご紹介していきましょう。

じょーもぴあ宮畑に来ると、綺麗に手入れされた公園の広場を囲むように木造の建物が4棟建っているのが目に入ります。これが「掘立柱建物」で、中でも一番大きな建物には、直径90cmという太いクリの木の柱が使われています。

これらの建物の周りには、土器を用いてていねいに埋葬された「幼児の墓」が多数残されていたことから、子どもの埋葬に関わる「まつりの施設」だったのではないかと考えられているそうです。
また広場の向かいには竪穴住居も復元されていて、縄文の人々の暮らしぶりが偲ばれます。

ほかにも「露出展示棟」があり、ここでは大量の縄文土器が見つかった場所を、発掘時そのままの状態で見ることができます。

体験学習施設「じょいもん」で縄文の魅力を知る

体験学習施設「じょいもん」外観

体験学習施設「じょいもん」の中に入ってみましょう。

その前に、この建物、特徴ある外観をしていますよね! ギザギザした黄色い突起が内側に向いた屋根のデザインが魅力的です。これは宮畑遺跡で発掘された縄文土器がモチーフだそう。
史跡公園と建物が一体となり、建物自体が縄文時代へのイメージをふくらませる仕掛けとなっていることが評価され、平成30年(2018年)に、第34回 福島県建築文化賞の「準賞」を受賞しています。

 

入口を入ると左手の壁面が土の壁で、遺跡が発掘された年代の地層の断面が見られるようになっています。

エントランスホールには、復元された縄文土器の展示や、工作コーナーなどがありますが、目を惹くのが床のガラス張り部分。縄文時代の竪穴住居の跡がそのまま残されています。

ホールには子どもたちが楽しめる工夫がたくさんあり、施設のどこかに置かれている宝箱を探してスタンプを集めるスタンプラリーや、土偶のぬり絵コーナーで自由に遊べるようになっています。中には一日に6回もスタンプラリーをまわった子どももいたとか。

日によっては勾玉作りや土偶・土器作り、キーホルダーやコースター作り、ウォークラリーなど、親子で楽しめるイベントが多数企画されています。

子どもたちに大人気のスタンプラリー。土偶のイラストになっている

スタンプラリーを完成させると押せる特別なスタンプ(スタッフ手作り!)

さて、ここから「常設展示室」に入ってみましょう。

エントランスホール内は無料ですが、この先は有料となりますので、手前のカウンターでチケットを買ってお入りください。

福島市の歴史が描かれた「タイムスリップロード」を進むと、円形のホールに出ます。ここには「縄文の四季」が表現されています。

縄文人の四季の生活がわかるジオラマをよーくご覧ください。

背景はここ宮畑遺跡から眺める景色と同じに作られており、吾妻小富士や阿武隈川も見えるんですよ! 縄文の人々も同じ景色を眺めたのかなと思うと、自分たちも確かにつながっているんだなと感じます。
このジオラマは子どもの目線に合わせて作られていますので、大人はちょっとかがんで見ると吾妻小富士が見えます。

縄文時代は狩猟採集だけでなく、トチやクルミの林を「むら」の人たち皆で管理し、獲った魚やクルミなどを保存食として加工していた様子も残っているそうです。

重要文化財「しゃがむ土偶」(ぴ〜ぐ〜)

国指定の重要文化財「しゃがむ土偶」

お待たせしました。宮畑遺跡のすぐ近く、飯坂町東湯野の上岡遺跡から出土した国指定の重要文化財「しゃがむ土偶」の実物がこちらです! 縄文時代後期のポーズを表現する土偶の代表的なものとされています。愛称は「ぴ〜ぐ〜」

膝を立ててしゃがんだ女性が腕を組んでいるちょっと変わったポーズは、当時の座産の姿を表したもの、またはまつりにおけるシャーマン(呪術師)の姿を表したものではないかと考えられています。ぷっくりと形取られた目鼻の表情がかわいいですよね。

約3,500年前に生きた人が、粘土をこねて、顔の表情をつけてこの人形を作り、それがいま目の前にあるのだと思うと、時空を超えてつながるロマンを感じます。

展示室にはこのほかにも多くの土偶や土器が展示されていて、顔の作りや形、土器につけられた模様が、時代によって移り変わっていく様子がわかるようになっていて大変興味深いです。

「すべてのものに神が宿る」豊かな精神を持っていた縄文の人々

縄文人は、すべてのものに神が宿ると考えていたようです。食料として狩る獲物も、木の実も、土器も、そして自分たちの命も、神様からの授かりものとして大切に扱われました。食料は自分たちが必要な分だけを狩猟採集し、取り尽くさずに次の年へと残していました。

もちろん「子ども」も神様からの授かりものです。そのように考えていたからこそ、子どもの墓は特別な場所にていねいに作られ、神に還し、いつかまたこの世に授かることを祈っていたのでしょう。

使い終わった土器や土偶、その他の道具なども、ただ捨てるのではなく、神様に還すまつりとして決められた場所で「もの送り」の儀式が行われていました。宮畑遺跡の露出展示では、土器が集中して発見された「もの送り」の場所がそのままの状態で展示されています。

発掘される縄文時代の人骨からは、矢じりが刺さった跡や、殴られた跡のある頭蓋骨など、人間同士が争った痕跡は見つかっていないといいます。それらが見つかるのは弥生時代に入ってから。気になったら、ぜひガイドさんに聞いてみてください。

およそ1万年という長きにわたって平和が続いた縄文時代は、むらの生活の中で共有されていた約束事があり、役割としてのリーダーがむらをまとめ、神への祈りを大切にし、必要なものを分け与える豊かな心で暮らしていた時代だったと考えられています。もしかすると、現代人より精神的に豊かだったのかもしれません。

ガイドボランティア、イベントの予約方法

……というわけで、ガイドボランティアさんの説明を聞きながら館内を回ると、とっても充実した見学になること間違いなしです。

展示解説をご希望の方は「黄色いジャンパー」「黄色いエプロン」を身につけたガイドボランティアさんに声をかけてみてくださいね。
対応時間は、土・日・祝日の10:00〜12:00/13:00〜16:00です(状況によってはご案内できない場合もあるとのことで、その際はご了承ください)。
平日は事前予約が必要ですので、じょーもぴあ宮畑まで電話でご連絡ください

じょーもぴあ宮畑で開催される勾玉・土偶作りなどの「縄文ものづくり体験」は、事前予約優先・時間制となっています(※ 空いていれば、当日気軽に参加できます)。体験を希望される方は、公式サイトのイベントカレンダーをご確認の上、前日までにお電話でご予約ください。

しゃがむ土偶の故郷「上岡遺跡」に行ってきた

じょーもぴあ宮畑から飯坂温泉方面に車で約20分、飯坂町東湯野の桃畑から「しゃがむ土偶」は出土しました。昭和27年12月のことです。
土偶はいくつかに割れていたものの、一か所にまとまって見つかりました。

道路脇にひっそりたたずむ上岡遺跡

当初は発見者の小原元七さんがこの土偶を所有しており、小原さんのもとには東京国立博物館をはじめ、さまざまな施設から寄贈の依頼があったそうです。しかし「貴重な土偶を、発掘された地元で展示することに価値がある」と考えた小原さんはそれらの依頼を断り、昭和44年に福島市に寄贈。

こうして今も、発掘された上岡遺跡にほど近い、じょーもぴあ宮畑で「しゃがむ土偶」の実物を見ることができるのです。

約3000年前にこの地に生きた縄文人の暮らしに想いを馳せながら、ぜひじょーもぴあ宮畑と一緒に上岡遺跡も訪ねてみてください!

じょーもぴあ宮畑 詳細情報

2025年8月24日(日)、じょーもぴあ宮畑開演10周年を記念して、福島市のパルセいいざかにて「縄文シティサミットinふくしま」が開催されます。
(縄文シティサミットとは、縄文遺跡がある23都市で組織された縄文都市連絡協議会が主催するイベントです)
当日は同じ会場で「縄文の日夏の陣」も開催されますので、併せてお楽しみください。

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