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「移住したことに一番驚いているのは、私自身なんです」〜福島市移住者インタビューVol.1  森礼子さん

大手町の会社を辞め、仕事と趣味の両立を目指して移住

福島市では、移住を希望する方、新規移住をした方に様々なサポートを行っています。その中でもユニークなのが、特定の条件を満たせば土湯、高湯、飯坂の三つの温泉(公衆浴場)の利用が3年間無料になる「湯めぐりパスポート」で、温泉巡りによるリラックス効果で移住生活を充実させていただきたいという木幡浩市長の発案で昨年7月から制度が開始されました。そしてこの春、初めて「湯めぐりパスポート」の対象になった新規移住者の皆さんに、先日市役所にて木幡市長から直接パスポートが進呈されました。

自らの意思で「福島市」を住まいに選び、引っ越しをされた移住者の皆さん。仕事も、バックグラウンドも、ライフスタイルも違う皆さんがなぜこの場所を選んだのか、その理由には、住民には気づかない地域の魅力や、それぞれの皆さんのライフストーリーが詰まっているはず。

そこで観光ノートでは、「湯めぐりパスポート」対象の三組の移住者の方にインタビューを行い、移住した理由や住んでみての感想などを伺いました。 (聞き手・文  熊坂仁美   / 福島市観光ノート編集長)

理想のライフスタイルを求めて2年越しの移住計画

第一回は、千葉県市原市から移住をした森礼子さん(43歳)。大手町にお勤めの会社員だった森さんですが、3月に退職されてすぐに引っ越しをし、現在は福島市でアルバイトをしながら就職活動中とのこと。

転職をともなう移住の場合、仕事が決まってから引っ越す方が多いのですが、森さんの場合は違うようです。安定した東京での仕事を辞め、見切り発車的に福島市に来たのはなぜなのでしょうか。

街のシンボル信夫山のふもとにある「ハローワーク福島」で事務手続きを終えた森さんに、近くのカフェ「信夫山文庫」でお話を伺いました。  

古民家を改装したブックカフェ「信夫山文庫」。日替わりランチや季節で変わる和スイーツが人気。

2年前から移住を考えていた

熊坂:今日はお時間いただきありがとうございます。

森さん:とんでもないです。でもほんとに私なんかでいいんですか。先日市役所でほかの移住者の方にお会いしたら、皆さん立派な方ばかりで、私は仕事もまだ決まっていないので・・・

熊坂:逆にそこに興味がありました。仕事が決まっていないのに引っ越されているので、思い切りのいい方だなと。福島でどんなお仕事を探されているのですか。

森さん:実はすでにエントリーしている会社がありまして。来年(令和4年)オープンする地域密着型の小売施設なんです。施設を管理する会社で募集が始まり、今月面接することになっています。

熊坂:あ、そこなら知っています。でも、まだまわりでもオープンすることを知らない人が多いのに、情報が早くてびっくりです。

森さん:そうなんです、福島で知らない方がいたので逆に私がびっくりしました。私は2019年頃から福島に移住を考えていて、東京交通会館(有楽町)の移住セミナーにも何度か参加していたのですが、ちょうど2年前、施設の建設計画があることを知って、5月に行われた地域ミーティングにも千葉から参加してました。

熊坂:え、私もそこにいましたよ。なんと、同じ場にいたとは!

森さん:びっくりですね。私一番前にいました(笑)。

熊坂:そのときから施設にそこまで興味があったなんて驚きです。

森さん:そのときには管理会社も決まっていませんでしたし、当然求人もしていなかったのですが、「これだ!」と思うところがあって、ずっと情報をチェックしてました。だから求人が開始されたときにはすぐに応募しました。

熊坂:つまり2年越しで準備されていたというわけですね。「これだ!」と思ったのはなぜですか。

千葉県富津市の農家に生まれ、地元の高校を出て社会人に。一人暮らしを始めたのも市原市で「千葉から出たことがなかった」という森さん。

自分に合った働き方をしたい

森さん:ふたつあって、まず、常にお客様が絶えない忙しい仕事が自分に合っていると思ったからです。

熊坂:前職は大手町の一般企業にお勤めだったのですよね。

森さん:はい、金融機関向けの調査会社で営業事務の仕事をしていました。でもその前に千葉県内の高速道路のサービスエリアに6年間勤務していて、事務部門でしたが、忙しい時には現場に降りて手伝ったり、土日も出勤したり、プライベートと仕事が分けられないような忙しい毎日でした。そのあと転職をして、いざ土日が完全に休みになると、私、趣味がないので、やることがなくて時間を持て余しちゃうんです。

熊坂:なるほど、現場感のある仕事がお好きなんですね。

森さん:現場だけではなく、事務的な仕事もあって、いろんな人と関われる・・・そういうバランスが自分には合っていて、またそんな働き方に戻りたいという想いが強くありました。

熊坂:今回の施設もそんな感じの働き方ができそうですね。

森さん:そうなんです。小売でも地域密着型は私には未知の世界ですが、とても興味がありました。大げさなようですが、この施設ができると聞いて、もしかしたらこのために私は今まで仕事をしてきたのかも、と直感的に思いました。

熊坂:すごい!ピンときたわけですね。確かにそういう直感ってありますよね。でもなぜ福島だったのですか。

エアレース・パイロット 室屋義秀さんの応援が唯一の趣味に

森さん:それがふたつ目の理由なんですが、私、ずっと趣味がないと言いましたが、土日を持て余していたとき、エアレースが地元で開催されていることを知って観戦するようになり、趣味と言えるものができたんです。それで福島に興味を持つようになりました。

熊坂:あ、室屋さん(福島市在住のエアレース・パイロット室屋義秀さん)ですね!そういえば、室屋さんのホームベースは建設地に近い「ふくしまスカイパーク」ですよね。

森さん:そうなんです。室屋さんの存在を知って、アクロバット飛行がとにかくカッコいいし人柄も素晴らしいなと思って。そこから室屋さんを応援するようになって、仲間もできて、練習を見に行ったりいろんなところで開催されるエアショーに行ったりするのが唯一の楽しみになったんです。

熊坂:室屋応援団ですね。

森さん:はい。どこに行っても10人ぐらい、いつも同じメンバーが集まっていました。ただ、ずっと悩ましかったのは、土日のイベントに参加するには前職のようなオフィスワークがいいのですが、仕事的にはまたサービスエリアのような人と関われる仕事に戻りたい。でもそうするとイベントや観戦に行きにくくなります。だったら室屋さんが活動拠点にしている福島に住んでしまえば、土日のイベントを逃しても平日に練習を見に行くチャンスもあるし、もしここでこの施設の仕事がいただけるのなら、やりたいことの両方が実現するなと。

熊坂:なるほど、「これだ!」と思った理由がわかりました。森さんにとって福島は、仕事と趣味がうまく両立できる場所ということなんですね。

森さん:そうなんです。

テレワークを行ううち心境に変化が

自分の決断に自分で驚く

熊坂:やりたい仕事と室屋さん、このふたつではどちらのウエイトが大きかったですか。

森さん:最初のきっかけは室屋さんでしたが、今は仕事の割合の方がずっと大きいです。今回の求人は立ち上げから関わることができるお仕事ということで、そんな機会は滅多にないかなと。福島に来てから、毎週建設現場を見に行ってるんです。まだ採用されたわけでもないのに(笑)。

熊坂:わあ、熱いですね〜。私なんか福島に住んでいるのにこんなに無関心でいいのかと反省します(笑)。それにしても森さんは本当に自分のやりたいことがはっきりされていて、行動力もすごいですね。

森さん:それが、今まで私、こんなふうじゃなかったんです。だから、移住したことを一番驚いているのは実は私なんです。自分の決断にびっくりしています。

熊坂:そうなんですか。いったい何があったんですか。

「やりたいことを思い切ってやってみよう」

森さん:そうですね・・・今こんな時代ですから、何が起きるかわからないですよね。だったらとりあえず自分がやりたいことをやって、もし失敗したり壁にぶち当たったら、またそのときに考えればいいや、って思えるようになったんです。

熊坂:そう思えるようになったのは、やはりコロナの影響って大きいですか。

森さん:大きいですね。コロナ以降ずっとテレワークで、ほとんど家で仕事していました。市原の自宅から大手町まで片道1時間40分かかっていたので、通勤のストレスがなくなったのは楽でしたけど、家だとPCがフリーズしたり、外に出ないので運動不足になりますよね。自粛期間が長かったので福島にも来れなかったし、イベントもなくなったし。だからやりたいことを思い切ってやろうという想いが強くなったと思います。

熊坂:退職はすんなりいきましたか。

森さん:はい、テレワーク中から移住の予定があることを伝えていました。会社からは福島で仕事に就くまでリモート勤務で続けてはどうか、と言っていただいたのですが、あまり甘えるのも申し訳ないし、区切りをつけて新しい生活をしたかったので3月で退職しました。職場のみんなも応援してくれて「やりたいことあるなら頑張りなよ」と快く送り出してくれて。もっとうれしいのは「福島に行くからね!」と言ってくれたんです。

熊坂:それはうれしいですね。ご家族はいかがでしたか。

森さん:家族には一番最後に報告しました。ほとんど事後報告みたいな感じです。最初は反対されましたが今は応援してくれています。先日も母から電話が来て、「とにかく頑張りなさいね!」って言ってくれました。

移住サポートと福島の暮らし

福島市の移住サポートを活用

熊坂:移住にあたっての心配事ってありましたか。

森さん:夏の暑さと冬の雪が心配でした。私の実家は千葉の農家で、一人暮らししてからも千葉にずっといましたので車の運転には慣れていますが、雪がほとんど降らないのでスタッドレスは使ったことがなくて。

熊坂:年2回のタイヤ交換が結構面倒くさいですよ(笑)。福島市の移住サポートはいかがでしたか。

森さん:「ワンストップ相談窓口」を利用させていただいたのですが、細かくサポートしてくれて助かりました。引っ越ししてからも、ゴミの捨て方まで教えてくれたり。日頃から担当の方とコミュニケーションがとれていたのでスムーズでしたし、心強かったです。

熊坂:金銭的な補助制度もいろいろありますが、利用されましたか。

森さん:はい、交通費の補助や、福島市の移住支援金を利用させていただきました。引っ越し時期が繁忙期の3月で、費用が思いのほかかかったので半額補助があったのはありがたかったです。 

熊坂:実際に福島に住んでみて、どんな感じですか。

森さん:景色がとにかくきれいで、毎日癒やされています。飯坂町に住んでいるんですが、桃の花がキレイなのにびっくりしました。なんであんなにかわいいピンクなんだろうって。「いい電(飯坂電車)」にも乗りました。景色を眺めながら乗れる電車っていいですねー。福島市のキャラクター「ももりん」もかわいい。何より、福島は優しくていい方が多いですね。今アルバイトをしているんですが、みんなすごく暖かく接してくれて、色々教えていただいています。

熊坂:それはよかったです。

湯めぐりパスポートで飯坂温泉へ

熊坂:「湯めぐりパスポート」はお使いになりましたか。

森さん:はい、最初これを知った時、単純に「うれしい!」と思いました。先日さっそく飯坂温泉の「波来湯(はこゆ)」に行ってきました。気持ちよかった!私普段はシャワー派なんですが、波来湯はぬるいのと熱いのと二つあって、両方を行ったり来たりできていいですね。家から近いので、また利用しようと思います。

熊坂:少し足を伸ばして高湯温泉や土湯温泉もおすすめですよ。それぞれに特徴があって楽しめると思います。

飯坂温泉 波来湯

やぐらを思わせる建物が目印の波来湯。営業時間は6:00~22:00(最終入館21:40)。定休日・火曜日

熊坂:これから福島で行ってみたいところとか、やってみたいことはありますか。

森さん:南相馬に行きたいです。室屋さんの応援仲間で、南相馬にお住まいのご夫婦がいるのですが、先日「移住しました」と連絡したら、すぐに電話をくれて。「今はコロナでこんな状況だけど、落ち着いたらぜひ会おう」と言ってくれたので、ぜひお訪ねしたいと思います。それから裏磐梯の五色沼に行ってみたいですし、今年は花見山のシーズンに間に合わなくて逃してしまったので、来年は絶対に行きます。とても楽しみです。

熊坂:お話を伺って、私まで楽しくなってきました。就職活動頑張ってください。応援しています!

森さん:ありがとうございます!

 

<移住者インタビューその他の記事>

「移住前は、周りに受け入れてもらえるかどうかが一番心配でした」〜福島市移住者インタビューVol.2 菊地俊作さん・由美さん

「お金より自由な時間がある方が僕は嬉しいんです」〜福島市移住者インタビューVol.3 遠藤優太さん

 

– 福島市移住支援サイト「ふくがましまし ふくしまし」
https://www.city.fukushima.fukushima.jp/ijyuu/

-福島市の移住・定住支援
https://www.city.fukushima.fukushima.jp/kurashi/teijyu/index.html

-「移住者必見!湯めぐりパスポート
https://www.city.fukushima.fukushima.jp/tkoryu-deai/kurashi/ijyuuteijyuu/onsenpass.html

 

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