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「暮らすように、旅をしよう。」#1 福島で出会う古書店の旅 本と喫茶コトウ&信夫堂古書店

日常のなかにある非日常、時間がゆるむ場所で本と過ごす

観光名所を巡るだけが旅じゃない。
その土地の日常にふれて、まるで「暮らす」ように過ごす時間こそ、旅の醍醐味かもしれません。

このシリーズでは、旅人をそっと迎え入れてくれる場所をめぐりながら、「暮らすように旅をする」楽しみをご紹介していきます。

第1回のテーマは「古書店」
本のページをめくることで街の空気や文化にふれられる、そんな一冊との出会いを求めて、2つの個性あふれるお店を訪ねました。
新書・古書に加え、かわいらしいこけしが並ぶ「コトウ」。そして、街の中にひっそりと佇む「信夫堂古書店」。本のある場所から、福島の日常にふれてみませんか?

誰もがふと立ち寄れる、まちの孤島「コトウ」

福島市大町の県庁通り沿いにある、書店「本と喫茶 コトウ」。
ガラス戸の奥に並ぶのは、長く誰かの手元にあったであろう古書や、ていねいに選ばれた新刊、そして東北のこけしたち。静かで、けれどあたたかい、そんな空気に包まれた店内です。

店舗入口

2017年にオープンした「本と喫茶 コトウ」は、2024年9月に現在の場所・大町に移転し、今年開店から9年目を迎えました。
旅人でも地元の人でも、扉を開ければ誰もが本と静かに向き合えるこの空間は、訪れる人の時間の流れを、ふっと忘れさせてくれるような場所です。

店名の「コトウ」は、店主・小島さんの名前を読み替えたもの。
そしてもうひとつ「陸の孤島」という言葉にも由来しています。日常から離れて、自分だけの静かな時間を過ごしてほしい……、そんな願いが込められています。

店内

自分の「好き」から広がる、街と人とのつながり

もともとは公務員として働いていたという店主の小島さん。
福島市で暮らし、お気に入りの店を巡るうちにさまざまな交流が生まれ、「この人たちと同じ街で一緒に仕事がしたい」という想いがふくらんでいったといいます。

本が好きだったこと、自分の居場所をつくりたいという気持ちも重なり、「コトウ」は誕生しました。
並ぶ本は、古書も新刊もジャンルはさまざま。選書の基準は「今の世の中に必要だと思うもの」と小島さん

「こんな本があったんだ!」という驚きがあって、本棚の前でつい足が止まってしまいます。本が好きな方なら、そこに並ぶ本を眺めているだけで、あっという間に時間が過ぎてしまうことでしょう。

店主厳選の古書

「僕は、面倒くさい人なんですよ」と小島さんは笑います。
けれどその言葉の奥には、自分の目で選び、手を動かし、迷いながらも続けていくという静かな覚悟がにじみます。

「ここに来たいと思ってもらえる場所を、これからもつくり続けたい」——
そんなまっすぐな想いが、お店の空気をやさしく、そして芯のあるものにしています。

福島市出身の詩人、長田弘の詩集

福島市出身の詩人、長田弘さんの詩集

絵本のコーナーも充実

絵本のコーナーも充実

店内にはカフェスペースもあり、購入した本をゆっくりと楽しむことができます
カフェのメニューには、市内のコーヒー店の豆や果樹園のジュースなど、地元のおいしいものをセレクト。「できるだけ地元のお店のものを」という小島さんのこだわりが、ここにも込められています。

そんな小島さんに、おすすめの一冊を選んでいただきました。物語が読みたい、というリクエストに応えて紹介してくれたのがこちらの一冊です。

吉田篤弘さんの「それからはスープのことばかり考えて暮らした」

吉田篤弘さんの「それからはスープのことばかり考えて暮らした」

小さな日常の断片がやさしく描かれた、あたたかい物語で、「コトウ」のお店の雰囲気と重なる本でした。
コーヒーを片手に、ぜひこの空間で読んでほしい一冊です。

東北のこけしが並ぶ店内

人の手を渡り、時間を重ねてきたこけし。小島さんはその魅力にすっかり引き込まれ集めるようになったという

本と喫茶 コトウ 詳細情報

住所 福島県福島市大町9-21 ニューヤブウチビル2階
営業時間 11:00~19:00
定休日 火曜日
HP/SNS Instagram

本とレトロな時間を楽しむ「信夫堂古書店」

「コトウ」から徒歩5分ほどの場所に、2024年にオープンした小さな古書店「信夫堂古書店」。
店主の渡辺さんは、昨年まで視覚支援学校の教員として働いていました。

30年働いた職場を退職し、好きだった本にかかわる仕事がしたいと古書店を始めました。また、街なかに残る空き店舗や古民家を活かしながら、街の魅力を取り戻したい、そんな想いもあったそうです。

落語が好きな渡辺さんの本棚には、江戸の庶民の暮らしに関する本が多く並びます

また、健康や身体に関する本や、レコードやカセットテープなどどこか懐かしさを感じさせるアイテムも多く、店内にはゆったりとしたレトロな空気が漂います。

江戸本

落語や江戸庶民の暮しに関する本が充実

200円の本棚

古書は200円から気軽に購入できる

実は「コトウ」の常連さんだったという渡辺さん。
“読む”ことにまつわる空間への愛情は共通していて、「信夫堂古書店」でも、ビールやコーヒーを片手に本を楽しめるといううれしい空間づくりがされています

肩肘張らずに過ごせる、ちょっとユニークな古書店。本に囲まれて静かに過ごしたいとき、ふらりと立ち寄ってみたくなる、そんな場所です。

「信夫堂古書店」詳細情報

住所 福島県福島市大町9-6
営業時間 11:00~16:00
定休日 水曜日・木曜日
HP/SNS Instagram

本のある場所から、福島の“日常”にふれる旅へ

観光地を巡るだけでは出会えない、その土地ならではの時間や空気。「コトウ」や「信夫堂古書店」で過ごす時間は、“暮らしの空気感”を味わえる時間になるはずです。

本を読みながらコーヒーを飲む。並ぶ本にふと目をとめて、知らなかった世界に出会う……。そんなささやかな時間が、旅の記憶にやさしく残っていきます。

「暮らすように旅をする」ということは、旅先の日常にふれてみること。そして、その街の人や営みをほんの少し身近に感じてみることかもしれません

次の旅では、本のある場所を訪ねてみてはいかがでしょうか。

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