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「暮らすように、旅をしよう。」#6 古民家カフェに溶け込むひととき|QUO CAFE & 古民家カフェ和ごころ
温かな対話と地元の味。福島市内の古民家カフェでなぞる暮らしの記憶
初めて訪れたはずなのに、どこか懐かしく、ほっと心が解けていく……。福島市の街角や高台にそっと佇む古民家カフェには、この地で重ねられてきた暮らしの記憶と、穏やかな時間が流れています。
かつて誰かの生活の舞台だった温もりに包まれながら、「もし、私がこの街で暮らしていたら」と想像を膨らませるひととき。
地元の旬を味わい、店主とたわいない会話を交わしていると、観光地を巡るだけの旅から、この街にそっと溶け込んでいくのを感じるはず。
今回は、築70年の古民家を活かした「QUO CAFE」と、高台に佇む「古民家カフェ 和ごころ」の2軒をご紹介します。
築70年余りの古民家を活かした、温かな休憩所「QUO CAFE」

住宅街に佇む、築70年余りの古民家「QUO CAFE」
福島駅から車で10分弱。福島市渡利の住宅街に、築70年余りの古民家を生かした「QUO CAFE(クオカフェ)」があります。
もともとは、店主のご主人の家族が暮らしていた家。約20年間空き家になっていましたが、その間も手入れをしながら、大切に守られてきたそうです。
「壊すのではなく、この家を残して活かしたい」
どうしていくべきか悩んだ時期を経て、辿りついたその想いから、ご家族の力を借りて少しずつ準備を進めてきました。
そうして2026年3月、カフェとして新たなスタートを切ることになりました。


店内には、住居として使われていた頃の面影が今も大切に残されています。針を止めたまま静かに佇む古時計をはじめ、この家が重ねてきた年月と暮らしの記憶を、あちらこちらに見つけることができます。

畳の部屋は、お子様連れに人気
特に印象的だったのが、大きな窓に沿って並ぶカウンター席。かつて子ども部屋だった場所で、店主が「この大きな窓から差し込む光が本当に綺麗で、ぜひ残したかった」と教えてくれました。

かつて子ども部屋だった場所を活かしたカウンター席
窓からやわらかな光が入り、木の床や窓枠に囲まれた落ち着く空間。ここに座っていると、読書をしたり、ぼーっとしたり、時間を気にせず過ごしたくなります。
さらに、あちらこちらにいるのが、店名の由来となった「世界一幸せな動物」と呼ばれるクオッカ。人形やイラストが店内のいろいろな場所に飾られています。

店内のあちらこちらで出会えるクオッカ。人形やイラストを探してみるのも、QUO CAFEでの小さな楽しみ
なんと、クオッカに会うため、オーストラリア南西部の沖合にあるロットネスト島まで足を運んだそう!
穏やかな店主さんの雰囲気からはちょっと意外な、その行動力とのギャップにも惹かれました。
店内には、クオカフェを「日常の中にある小さな休憩所」とする言葉が掲げられています。

店内に掲げられた、QUO CAFEの思いが伝わる言葉
実際にここで過ごしてみると、その言葉がしっくりきます。
どこか懐かしく、そして温かく、自然と力を抜いて過ごせるような空間です。
こだわりの材料と季節の食材を取り入れたメニュー

カウンターに並ぶ焼き菓子
そんな空間でいただいたのは、「迷ったらこれ!一番人気メニュー」と書かれていたプレーンスコーンです。
外側はサクッと、中はしっとり。取材に訪れたときは自家製の桃コンポートが添えられていましたが、季節によって合わさる果物が変わるため、訪れる時期ごとに違った味わいを楽しめます。

一番人気のプレーンスコーン(500円)とコーヒー(600円)。ドリンクとスイーツをセットで注文すると100円引き
お菓子を手がけるのは、店主の妹さん。定休日には直売所を何軒も巡り、その時々で一番おいしい季節の果物や食材を探し歩くのだそうです。試作を重ねたメニューは家族みんなで試食し、太鼓判が押されたものだけが店頭に並びます。
一緒にいただいたコーヒーは、福島県二本松市「秋津珈琲豆焙煎所」の豆で淹れた一杯。お菓子のやさしい味わいにそっと寄り添ってくれます。

いちじくの米粉マフィン(500円)と黒糖ミルク(600円)。ドリンクとスイーツをセットで注文すると100円引き
もう一ついただいたのは、季節の味わいが詰まった「いちじくの米粉マフィン」。国産の米粉ときび砂糖を使った、体にやさしい控えめな甘さが魅力です。
そして、お店で人気を集めているのが波照間(はてるま)島の黒糖を使った「黒糖ミルク」。
「沖縄で出会った忘れられない味を再現したくて」と試作を重ねて辿り着いた一杯で、これを目当てに遠方から訪れるファンも多いのだそうです。
「焼きたてのスコーンを、おやつだけでなくランチにも楽しんでもらえたら」という想いから、金・土曜日限定でチーズやベーコンをあわせたお食事系のスコーンも登場します!
玄関までの見送りに感じた、QUO CAFEの温かさ
QUO CAFEで、私が一番心に残ったのが、お客さんとの温かなやりとりです。
靴を脱いで上がるスタイルの「QUO CAFE」。取材中、帰られるお客さまがいると、店主はできる限り玄関まで足を運び、ていねいに送り出していました。その姿はまるで、実家から出発するときに玄関で見送ってもらうときのよう。

地元の人も多く訪れるこの場所では、お客さんとの何気ない会話や、その場のあたたかな空気を何より大切にしています。QUO CAFEでお菓子やコーヒーをいただいていると、なんだかほっとして、気持ちまで少しゆるんでいくよう。
空間だけでなく、ここで味わうものすべてから温かさを感じました。

家族が暮らし、空き家になってからも大切に守られてきた築70年余りの古民家。そこにいま再び人が集まり、新しい笑顔や会話、出会いが生まれています。
季節のお菓子と美味しいコーヒーを片手に、少し肩の力を抜いて過ごす時間。「QUO CAFE」は、誰もがそっと羽根を休められる、温かな「小さな休憩所」でした。
QUO CAFE(クオ カフェ)基本情報
| 店舗名 | QUO CAFE(クオ カフェ) |
|---|---|
| 住所 | 福島県福島市渡利薬師町99 |
| 営業時間 | 11:00~17:00(L.O.16:30) |
| 定休日 | 日曜・月曜・火曜日および第3土曜日、その他臨時休業あり ※最新の営業日は公式Instagramをご確認ください。 |
| 駐車場 | あり(6台) |
| アクセス | 【バス】福島駅東口より渡利循環 [花見山入口経由]または南向台循環線渡利先回り乗車約10分「馬場町」下車、徒歩約5分 【車】福島駅東口より約10分 |
| 支払い方法 | 現金のみ |
| SNS・HP | 公式Instagram |
受け継いだ味と窓の外の景色を楽しむ「古民家カフェ 和ごころ」

福島市松川町の高台にある「古民家カフェ 和ごころ」。畳敷きの部屋から窓の外に広がる松川町の景色を眺めながら、食事やお茶を楽しめます。

囲炉裏のある個室はお子様連れに人気

立ち座りが楽なテーブル席もある
もともとは民家だったこの建物では、現店主・齋藤さんの親戚が、うどんなどを出す軽食店「和ごころ」を営んでいました。
紅茶とお菓子が好きで、いつか自分の店を持つのが夢だった齋藤さん。その後、空き家になっていたこの建物でカフェを開いてはどうかと声をかけられ、2023年に店名を引き継いでオープンしました。
かつての店に通っていたお客様も、今再び足を運んでくれています。
米粉と野菜を生かした、ほっとする味
実家では米や野菜を作っているという齋藤さん。松川町で店を開くにあたり、米粉を中心にした料理を店の特色にしようと考えたことが、メニューづくりの出発点でした。
料理には国産の米粉のほか、実家で育てた農作物や店の周りで採れた野菜、地元の農産物を取り入れています。
キーマカレーは肉の代わりに豆腐を使い、ピザの生地も米粉と豆腐で手作り。肉を使わず、野菜や米粉のよさを生かしたメニューを提供しています。

だんご汁セット(1,000円)
今回いただいたのは、前の店でも名物だった料理を齋藤さんがアレンジした「だんご汁セット」。

じっくり煮込んだ野菜の旨味が溶け込む味噌ベースのスープは、ひと口飲むたびにやさしい甘みが広がります。どこか「おばあちゃんの家」を思い出すような、心までじんわり温まる懐かしい味わいです。
米粉のだんごも5つ入っていて食べ応えがあり、セットには季節の野菜を使った小鉢3種も付きます。

米粉シフォンケーキ(450円)と、アールグレイ(600円)。ドリンクとスイーツをセットで注文すると100円引き
食後には「米粉シフォンケーキ」と、店で一番人気という紅茶のアールグレイを。
シフォンケーキはふわふわと軽い食感で、添えられた生クリームとブルーベリーがアクセントに。ヨーグルトには、店のそばで採れた梅を使った自家製ジャムが添えられています。梅の風味と酸味が感じられ、後味は爽やかです。

香りのよいアールグレイは大きめのポットで提供されます。おしゃべりをしながらゆっくり味わったり、複数人で違う茶葉を頼んでシェアしたりするのも楽しそうです。
店内ではハンドメイド作品を販売
店内には、ハンドメイド作品を展示・販売する部屋もあります。カフェのオープン時に、「作品を通じてお客さんが訪れるきっかけになれば」と齋藤さんが作家さんへ声をかけ、現在は福島市内や県外の約10人の作品が並んでいます。

食事やお茶の前後に、ハンドメイド作品を眺める楽しみも
作家さん自身もカフェを利用しながら、作品を入れ替えたり補充したりするそう。食事やお茶の前後に、作品を眺める楽しみもあります。
一人でも、家族でも。思い思いの時間を過ごす場所
このカフェを訪れるのは、一人で本を読む方や友人同士、畳の部屋で子どもと過ごす家族連れなどさまざま。地元の中学生が集まることもあれば、海外からのお客さんが訪れることもあります。

齋藤さん自身も、当初思い描いていた以上に幅広い世代が来てくれることをうれしく感じているそうです。
「自分の好きな時間を過ごす場所に使っていただきたい」という齋藤さんの言葉どおり、思い思いに過ごせる一軒です。
古民家カフェ 和ごころ基本情報
| 店舗名 | 古民家カフェ 和ごころ |
|---|---|
| 住所 | 福島市松川町桑原30-3 |
| TEL | 090-1379-1625 |
| 営業時間 | 10:30~16:00 |
| 定休日 | 毎週火・水曜日 |
| 駐車場 | あり |
| アクセス | 【電車】JR松川駅から徒歩約30分 【バス】福島駅東口バスターミナルから松川 [伏拝・医大・美郷団地経由]行き乗車約40分「松川支所入口」下車、徒歩約3分 【車】JR福島駅から車で約25分、東北自動車道・福島西ICより約15分 |
| HP・SNS | 公式Instagram |
| 備考 | 席の種類や数に限りがあるため、人数や来店時間が決まっている場合は事前の予約がおすすめです。 |