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【福島市ご当地グルメ】「円盤餃子」名店シリーズ 第1回:昭和39年創業の老舗「山女(やまめ)」
駅近でアクセス抜群! 老舗「山女」の円盤餃子と美味しい地酒で大人の夜を過ごそう

餃子といえば、宇都宮? それとも浜松? ――いやいや、福島市にも忘れてはいけない名物餃子があります。
それが、戦後の闇市から生まれ、今や文化庁の「100年フード」にも認定された福島市のご当地グルメ「円盤餃子」。
フライパンに円形にずらりと並べ、一度にたっぷり焼き上げ、皿にひっくり返す。その円盤のような迫力あるビジュアルに驚かされる、福島ならではの餃子があるんです!
今回から始まる【円盤餃子の名店シリーズ】では、そんな福島の餃子を堪能できるイチオシのお店を紹介していきます。
記念すべき1回目に紹介するお店は、昭和39年創業の老舗「餃子の店 山女(やまめ)」。見てびっくり、食べてびっくり! と評判の一皿を求めて、その暖簾をくぐってきましたよ。
円盤餃子から見えてくる福島市の歴史
円盤餃子を語る上で欠かせないのが、そのルーツです。
第二次世界大戦直後、福島市は戦災による被害が比較的少なく都市機能が残っていたことから、駅前には人々が食べ物や日用品を求めて集まる市場(闇市)が自然と広がっていました。その中には、海外からの引き揚げ者や戦地から戻った復員兵が生活のために営んでいた屋台もありました。
そうした屋台の一つから生まれたのが、福島独自の「円盤餃子」です。
フライパンに餃子を円形にずらりと並べ、そのままお皿にひっくり返して出すという、一度にたくさん焼けて合理的な工夫から始まったこのスタイルは、見た目も迫力満点で、庶民の胃袋を満たす人気の味。
こうした餃子店は戦後の復興期から高度経済成長期にかけて働く人々の胃袋を支え、現在も福島市民の食文化に欠かせない存在となっていきました。
特に、仕事帰りのサラリーマンたちが暖簾をくぐり、餃子をつまみに一杯やって一日の疲れを癒す光景は長年にわたり定着。円盤餃子は「働く人の明日の活力を養う庶民の味」として親しまれ、今でもランチ営業をせず、夕方から開店する店も多く残っています。
円盤餃子は、福島の戦後の暮らしを映し出すと同時に、現在まで受け継がれてきた地域のソウルフード。その価値は広く認められ、“次の世代に残したい食文化”として、文化庁の「100年フード」にも認定されています。
福島の円盤餃子文化を支える名店「山女」

山女 外観
そんな円盤餃子文化を支えてきた名店のひとつが「山女(やまめ)」です。
JR福島駅東口から歩いて5分ほどという立地も魅力で、観光客も立ち寄りやすい一軒。昭和39年に創業し、現在は二代目の店主 高橋 豊(たかはし ゆたか)さんと2人の息子さん、そして若さ溢れる大学生スタッフが店を切り盛りしています。
店主の高橋さんは、地元の餃子店でつくる「ふくしま餃子の会」の初代会長であり、今年から再び会長に就任。福島の円盤餃子文化を牽引する存在でもあります。

山女の店主 高橋 豊(たかはし ゆたか)さん
1階はカウンター席、2階には座敷席もあり、合わせて40席ほどある店内。私が訪れた日も、平日の夕方なのに開店前から人が並んでおり、その人気の高さに驚かされます。
暖簾をくぐればサラリーマンのほか、女性同士のグループ、カップル、女性一人客まで幅広い層でにぎわっており、地元の常連から観光客まで多くの人に親しまれていることが伝わってきます。
厨房ではフライパンに円形に並んだ餃子がジュワジュワと音を立て、油の泡が弾けるたび香ばしい匂いが広がります。

円盤餃子を油でじっくり揚げ焼きしていきます
もうこの時点で食欲が限界! 目の前で「福島の円盤餃子」が生まれていくライブ感に、テンションが上がります。奥ではスタッフが皮を1枚1枚ていねいに伸ばし、餡を包む姿も。手際の良い手仕事の光景に見惚れてしまいます。
焼き上がった餃子を皿にひっくり返すと、黄金色の円盤が完成です!

福島名物 円盤餃子(焼き)一皿20個入り1,650円(取材時)
「冷凍はしない。その日の仕込みだけ」と語る店主の手に掲げられた一皿には、60年の歴史と誇りが詰まっています。
箸で割ると、中から野菜の甘みを含んだ餡がぎっしり。
皮の外側はパリッと香ばしく、内側はもちもち。
揚げ焼きですが、想像以上にあっさり! 野菜7割・肉3割の軽やかさだからこそ、ぺろりと一皿20個完食できてしまいます。初めて食べた人が「思っていた餃子と全然違う!」と驚くのも納得です。
キンキンに冷えたビールとの相性は、言葉で表せないくらい最高。「今日、この瞬間のために1日頑張った〜!」と心の奥底から思えるほど、幸せを感じる時間です。


ほかにも、水餃子や1日10食限定の「晩酌セット(平日のみ)」も人気。晩酌セットは餃子と小鉢、そしてお酒がつくお得な内容で、仕事帰りに立ち寄る常連さんたちのお楽しみになっています。
餃子と地酒のペアリングも相性良し


山女を訪れたら、餃子と日本酒のペアリングもぜひ体験したいところです。種類も豊富で、9割は福島県内の酒蔵で造られた地酒を揃えています。
福島の地酒は、全国新酒鑑評会で何度も金賞受賞数日本一に輝いた実績を持つ、全国トップクラス。
清らかな水と豊かな自然に育まれ、県内50以上の酒蔵がそれぞれ個性あるお酒を生み出しています。なかでも辛口ですっきりとした銘柄は、円盤餃子の香ばしさや野菜の甘みを引き立ててくれる名脇役。餃子と一緒に味わえば、“福島の夜”をより深く楽しめますよ。
明日の活力! 円盤餃子で福島の夜を堪能しよう
「福島の円盤餃子は、サラリーマンの明日の活力になればと続いてきた生業(なりわい)なんです」と話す高橋さんの言葉からは、円盤餃子と共に歩んできた福島の歴史と暮らしが伝わってきます。
最後に読者へのひと言をお願いすると「お腹を空かせて来てください! 近くにもいろいろな餃子の店があるので、餃子のはしごも楽しんで!」と笑顔で話してくださいました。
昭和39年から福島の餃子文化を支え続けてきた「山女」の暖簾をくぐり、ぜひ“福島の夜”を堪能してみてくださいね。
店舗名 | 餃子の店 山女(やまめ) |
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住所 | 福島市早稲町5-23 |
TEL | 024-523-1772 |
営業時間 | 平日17:30~(LO21:30)/土曜17:00~(LO21:30) ※材料がなくなり次第終了 |
定休日 | 日曜・祝日(不定休) |
駐車場 | 指定駐車場(駅前大平ガレージ)あり。利用時間は17:00~21:00 ※2500円以上飲食のお客様に、1時間分無料駐車券 |
アクセス | 福島駅東口より徒歩約3分 |
HP・SNS | ふくしま餃子の会公式ホームページ |
備考 | クレジットカードやPayPayなどキャッシュレス決済可能 |