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震災から15年、福島で出会う“静けさ”の美。東山魁夷と千住博が描く日本画の世界
新旧を代表する作家たちの作品を通して、日本画の多様な表現を楽しむ
2026年春の福島市は、アートを楽しみたい方にとって見逃せないスポットになっています。
福島県立美術館(以下、県立美術館)で「大ゴッホ展 夜のカフェテラス」が開催されるなか、JR福島駅西口すぐのコラッセふくしまでは、「二人の巨匠、東山魁夷と千住博展」が開かれています。
力強い色彩や熱量に圧倒される西洋絵画とはまた違い、こちらで印象に残るのは、日本画ならではの「静けさ」です。震災から15年がたった福島でこうした作品たちと向き合い、心を整える贅沢な時間を過ごせたことが何よりも心に残りました。
この記事では、展覧会の開催意義、会場で感じた見どころ、合わせて楽しみたい周辺情報などをご紹介していきます。
目次
震災から15年の福島で開かれる、この展覧会の意義

本展は、日本画の巨匠・東山魁夷と、現代日本画を代表する千住博を軸に、杉山寧、高山辰雄の作品を含む計36点を紹介する企画展です。
テーマは「静謐(せいひつ)」と「自然」。東山魁夷《風吹く浜》、千住博《瀧図》の原画特別公開も見どころで、福島にいながら日本画の名品を間近で鑑賞できる機会となっています。
チケット収入の一部は福島県および福島市へ寄付され、震災復興から15年を迎える福島における文化芸術振興の推進と、心の復興支援に役立てられる予定です。
本展を主催する株式会社DMC aizuによると、企画のきっかけのひとつには、県立美術館で開催されている「大ゴッホ展」の存在があったといいます。西欧の名画が福島に集まるこの機会に合わせて、世界の巨匠と日本の巨匠の作品を一度に堪能できる文化的機会を福島に創出したいとの思いから、本展が企画されたそうです。
「震災から15年の節目に福島で開催できることを意義深く受け止めており、芸術がもたらす静けさと希望を通して、地域とともに未来へ向かう文化の力を発信したい」ともコメントしています。
作品とゆっくり向き合える会場づくり

会場に入ってまず印象的だったのは、落ち着いた空間のつくりです。福島駅すぐの立地でありながら、展示室には静かな空気が流れていました。
受付や会場内の2次元コード(QRコード)を読み取ると、作品解説(キャプション)をスマートフォンで確認できるので、混み合っている時間帯でも自分のペースで鑑賞しやすくなっています。

全作品のキャプションが一覧で表示されるので、空いている所から回るのも◎
場内では、携帯電話・スマートフォンなどをマナーモードに設定し、通話や写真・動画の撮影、配信は控えるよう案内されています。
所要時間の目安は、私自身の体感だと一通りまわるのに30〜40分ほど。当日中は半券で再入場もできるので、駅周辺で食事や買い物を楽しんだあと、もう一度じっくり鑑賞することもできますよ。
東山魁夷が描く、青と緑の静けさ

半世紀ぶりの一般公開となる《風吹く浜》を間近で鑑賞できる
本展のなかでも、特に足を止めてじっくり見たくなるのが東山魁夷の作品です。半世紀ぶりの一般公開となる《風吹く浜》をはじめ、計13点が展示されています。
主催者は、東山魁夷の作品について「静かな感動」や「生きる勇気」を呼び覚ますものとして紹介しています。

実際に作品を目の前にすると、青や緑を基調とした、いわゆる「東山ブルー」の世界は、派手なわけではないのに強く印象に残ります。同じ青といっても表情が驚くほど豊かで、見ているうちに気持ちがすっと落ち着いていくようでした。
千住博が描く、水の透明感と迫力

東山魁夷の静かな世界に続いて、また違った印象を残すのが千住博の作品です。代表的な「ウォーターフォール」シリーズや《瀧図》など、計13点が紹介されています。
主催者によると、これらの作品を通して、千住博が描く自然の美しさと厳しさを感じられる構成になっているそうです。

繊細な水の表情に引き込まれる千住博の代表作《瀧図》
実際に作品を前にすると、滝つぼに落ちていく水の勢いや、逆にふわりと舞い上がっていくように見える霧のようなしぶきまでていねいに描かれていて、水の細かな表情に引き込まれます。迫力がありながら、見ているうちに気持ちが静まっていくような不思議な感覚がありました。
杉山寧・高山辰雄、次世代作品にも出会える構成

自然の力強さを感じられる杉山寧の作品

高山辰雄の作品の中には「ひまわり」という作品も
会場には東山魁夷、千住博に加え、杉山寧、高山辰雄といった昭和の名手たちの作品も並びます。
杉山寧と高山辰雄は、東山魁夷とともに名字に「山」の字を持つことから「日展三山」と並び称され、戦後を代表する日本画家たちとして知られています。
新旧を代表する作家たちの作品をあわせて見ることで、日本画の表現の幅広さを感じられる構成になっていました。

さらに隣のスペースでは「公募アワード」の作品も展示中。伝統的な作品からデジタル作品まで、次世代アーティストたちの新しい挑戦も楽しめます。
展覧会の余韻を持ち帰れるグッズにも注目

グッズ売り場の入口。当日券の購入もこちら
グッズ売り場も楽しみのひとつです。ポストカードやクリアファイルなどのオリジナルグッズのほか、ミニキャンバスやマグネットなど、長野県立美術館の東山魁夷館から取り寄せたアイテムも並んでいました。


しおりやクリアファイルは売れ筋とのことで、チャリティーの趣旨に沿って手に取りやすい価格で販売されています。グッズを2,000円以上購入すると、ショッパー(バッグ)のプレゼントもありました。
グッズ売り場では当日券の購入もでき、展覧会を見ない方でも立ち寄れます。支払いは現金のほか、クレジットカード、PayPayに対応しています。
福島駅周辺観光と合わせて楽しみたい、展覧会の回り方

本展は、福島駅西口すぐの「コラッセふくしま」が会場で、食事や買い物を楽しみながら立ち寄りやすいのも魅力です。
同時期に県立美術館で開催されている「大ゴッホ展」とあわせて楽しむなら、午前中は「東山魁夷・千住博展」で過ごし、午後の団体予約が落ち着いたころに大ゴッホ展へ向かう流れがおすすめです。(※)
コラッセふくしまから県立美術館へは、福島交通飯坂線(通称:いい電)で2駅。美術館周辺では、名画をイメージした「ゴッホ飯」を楽しめるお店もたくさんありますよ。
(※)大ゴッホ展では、次世代を担う子どもたちの豊かな感性を育むため、学校単位での鑑賞を積極的に受け入れています。大ゴッホ展公式Xにて「団体予約状況カレンダー」を更新していますので、ご来場の検討や日程調整にぜひご活用ください。
また、福島駅西口の2階にある福島市観光案内所では「ふくしま おいしい旅MAP」も配布中。展覧会の余韻に浸りながら、美味しい福島を巡ってみてはいかがでしょうか。
遠方から車で訪れる場合は、NEXCO東日本の「しあわせの風ふくしまセットプラン」を活用するのもおすすめ。福島県内の対象施設を利用することで、高速道路をお得に使えるETC車限定のプランです。
福島で複数のスポットを巡る予定がある方は、合わせてチェックしてみてください。
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