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土湯・女沼の秘境に泊まる|築150年の古民家で過ごす“ととのい旅”
囲炉裏・土サウナ・カラオケまで! 福島の自然と想いが重なる遊びと癒しの“福袋宿”
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福島駅から車で30分。土湯温泉の奥に広がる「女沼(めぬま)」は、緑豊かな森と静かな湖面に包まれた、四季折々の自然の表情を見せてくれる、知る人ぞ知る秘境の地です。
その女沼のほど近くに、築150年の古民家を再生した新たな拠点が誕生しました。
梁や縁側、囲炉裏などの昔ながらの趣を残しつつ、現代の快適な暮らしを結びつけた空間は、訪れる人を温かく、そして刺激的に迎えてくれます。
そんな古民家再生を手がけたのは、福島市で地域づくりや自然体験の場づくりに取り組んできた、チャンネルスクエア 代表の 平 学(たいら・まなぶ)さん。
「女沼に一目惚れでした。びびびーと心打たれたんです」と語る平さんに、古民家再生の経緯や今後の展望、そしてサウナをはじめとする多彩な過ごし方の魅力について伺いました。
目次
震災後「子どもに遊び場を」から始まった挑戦

CHANNEL SQUARE・代表の平学(たいら・まなぶ)さんと、吉沢奎吾(よしざわ・けいご)さん
2011年の東日本大震災は、福島の暮らしに大きな影響を与えました。放射線への不安から外遊びを控える雰囲気が広がり、子どもたちが自然に触れる機会は減りました。
そんな中で「子どもたちが安心して遊べる場をつくりたい」と立ち上げたのが、福島インドアパークプロジェクトCHANNEL SQUARE。屋内で安心して体を動かせるスケートボードやクライミングなどの環境を整え、子どもたちの笑顔を取り戻す活動を続けてきました。
「福島の資源からたくさんの恩恵を受けてきました。その恩を返せるような環境をつくりたいんです」と平さん。そうした想いを抱えながら、2019年に土湯温泉観光協会長の誘いで初めて女沼を訪れた際に、「ビビビ」と衝撃を受けたそうです。
「福島駅から30分でこんな豊かな自然があることに驚きました。森と湖に抱かれるような空気感に、一目惚れでした」と振り返ります。
女沼に通う中で出会ったのが、震災後に使われなくなっていた築150年の古民家でした。もともとは約50年前に山形から移築された建物で、かつてはこけし職人の工房として地域を支えていた場所です。しかし、工人が高齢になられたため使われなくなり、解体が決まっていました。ちょうど解体に向けた片付けが行われていた最中、平さんが家主の方に声をかけたのだそうです。
「中に入ったときに、“ビビビーッ”と、また衝撃を受けて。『これは残さなきゃ』と直感しました。最初は、突然得体の知れない者が来たと警戒されましたが、何度も足を運んで熱意を伝え、ようやく譲っていただけました」と平さん。
築150年古民家を再生! 遊びと癒しのワクワクが詰まった“福袋宿”

築150年の古民家(右)と、土でつくられたアースバッグサウナ(左奥)。自然と調和した外観が印象的。
築150年の古民家を再生させることは容易ではありません。ですが、全国から集まった有志やクラウドファンディングの支援者、そして地域の人々が力を合わせ、それぞれが知恵とアイデアを持ち寄ることで、少しずつ再生が進んでいきました。

入り口には全国から集まった集まった支援者の方々のお名前が。
仲間と共に解体作業や廃材の活用などを手作業で進め、一歩一歩、古民家の再生を形にしていったのです。専門業者に依頼したのはボイラー工事だけというから驚きです。
宿泊は“一棟貸切・1組限定”。内部にはグランピングテントがあり、最大8名まで滞在可能です。
BBQや囲炉裏、薪ストーブの火起こしなどを自分で行う“セルフ体験”が基本で、あえて“不便を楽しむ”ことを大切にしています。
梁や縁側、囲炉裏などの昔ながらの趣を残しつつ、Wi-Fiやシャワーなど現代の暮らしや遊びの要素も取り入れた空間は、訪れる人を温かく、そして刺激的に迎えてくれます。


竹を切り出して炙って磨き、装飾に活用するなど自然素材も随所に取り入れました。
「隙間があるのも手づくりの味。プロの設計ではなく、素人のアイデアから生まれた空間なんです」と平さんは笑います。

古民家内には、おしゃれなグランピングテントが! 和とアウトドアが調和する宿泊スタイル
奮闘を続ける平さんや仲間の姿を見ていく中で、それまで半信半疑だった古民家の元の持ち主も「お前、頑張ってるな」と声をかけてくれるようになりました。
そして2025年7月にはプレオープン。地域住民の方々を招き、お披露目の場を持ちました。
ここでしか体験できないアースバッグサウナと、アイデア無限の滞在時間
夏は新緑、秋に紅葉、冬には雪景色と、四季折々の姿を見せてくれる女沼では、散策や自然観察が楽しめ、湖面ではSUPやカヌーも体験できます。
古民家では庭でBBQをしたり、囲炉裏や薪ストーブを囲み火を堪能したり、ボ〜ッと星空を眺めたりと、日常では味わえない特別な時間を過ごせます。
またカラオケ、マイク、100インチスクリーンもあり、映画鑑賞やライブ配信を大音量で楽しむなど、多様な過ごし方ができます。
不便を楽しみながらも不自由は感じさせません!
そして、ここでしか体験できないのが「アースバッグサウナ」。
木材ではなく土湯温泉の“土”で築いたドーム型のサウナで、分厚い土壁が熱をたっぷり蓄えて輻射熱(じんわり体を芯まで温める熱)を放ちます。
一般的な乾いた熱気とは違い、息苦しさが少ない“やわらかい熱”で、いわばサウナと岩盤浴の良いとこ取りのようなサウナです。
サウナ後は本格的なジャグジー付きの水風呂もあり、最高の「ととのう環境」が待っています。

サウナでしっかり温まったあとは、外気浴で“ととのう”時間。奥には本格ジャグジーも完備
さらに現在は、昔ながらの風情を楽しめる五右衛門風呂の製作も進行中だとか。「常にアップデート! お客様の声を聞きながら進化していきたい」と語る平さんの言葉通り、この場所は今もなお進化を続けています。
女沼ビレッジ! 自然と人がつながる“次の拠点”を目指して
平さんの描く未来は、まだまだ大きく広がります。
「この自然を観光誘客だけでなく、学びや交流の拠点にしたい。一目惚れした女沼の豊かな自然を最大限に活かし、多様な人々が交流し、遊び、学び、働き、そして新たな価値を創造する“女沼ビレッジ”を実現していきたい」。と平さん。
この地を単なる観光地や宿泊施設としてだけでなく、多機能な拠点として次世代へと繋いでいくことを目指しています。
現に、他の古民家オーナーから活用や管理等の相談も来ているそうで「女沼全体で人の流れを生み出し、地域に活気を取り戻したい。長い歴史を刻んできた古き良き古民家を、知恵と発想を活かして新たな価値ある場所へと生まれ変わらせ、次の世代へと受け継いでいきたい。」と話してくれました。
150年の趣を残し、次世代へと繋がるかたちで蘇った古民家、土と水のぬくもりを感じるアースバックサウナ、そして女沼の自然。“ビビビーッ”と心打たれた平さんのように、あなたも、この場所で何かに出会えるかもしれませんよ!
自然の中で、あなたらしい時間を体感しに来てくださいね。
女沼のアウトドアwith古民家
住所 | 〒960-2157 福島県福島市土湯温泉町日向10番地4 |
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TEL | 024-572-7460 |
定休日 | 不定休(予約サイトでご確認ください) |
公式・予約サイト | https://menuma-kominka.com/ |