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15品種の梨のリレー! 受け継いだ梨農園を育てる、福島市「果樹園 結いまる」
東京から福島へ。果樹栽培に魅せられた園主が育てる、夏から秋が旬の「梨」
「福島のくだもの」と聞くと、まず「桃」を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。
もちろん桃は福島市を代表する果物ですが、実は桃シーズンの後も、福島ではおいしい果物の季節が続きます。
そのひとつが、みずみずしくてシャリッとした食感が魅力の「梨」。
福島市は、明治以来100年以上の歴史を持つ「萱場梨(かやばなし)」の産地でもあり、和梨農業産出額はなんと全国1位! さまざまな品種の梨が栽培されています。

今回訪ねたのは、福島市町庭坂にある「果樹園 結いまる(ゆいまる)」。
8月中旬ごろから収穫が始まる「幸水」を皮切りに、「豊水」「南水」「あきづき」などへとバトンをつなぎ、最後は11月中旬ごろの「王秋」まで。品種ごとに味わいが異なる梨を、約3か月にわたって楽しめる果樹園です。
それらの梨を育てているのが、35歳の園主・清水遼さん。梨づくりを始めることになったきっかけや、知っていると役立つ「おいしい梨の選び方」まで伺いました。
目次
「野菜より果物」農業を学ぶ中で見つけた果樹栽培への思い
もともと農業に興味があり、東京農業大学で学んでいた清水さん。当初は野菜をメインに学んでいましたが、次第に果物の栽培に魅力を感じるようになったといいます。
その理由は、果樹ならではの「木を育て、毎年収穫する」という営みにありました。
「野菜は1年で収穫が終わりますが、果物は木を育てて、毎年収穫できるところに魅力を感じました」

果物を育てる仕事がしたい。
そんな思いを抱くようになった清水さんが、卒業後の進路を探す中で見つけたのが、福島県会津地方の果樹園の求人でした。
農業を学んだからといって、すぐに希望する仕事に就けるとは限りません。「農業は人手不足」と言われる一方で、正社員として働ける求人は多くなかったといいます。
そんな中で見つけた果樹園の仕事をきっかけに、東京出身だった清水さんは福島へ。
会津の果樹園で働いた後、福島市内や近郊の農園などで経験を積み、果樹栽培の技術を身につけていきました。

そして3年前、ひとつの大きな転機が訪れます。後継者がいなかった福島市町庭坂の「国井農園」を引き継ぐことになったのです。
現在は「果樹園 結いまる」として代々の梨農園を守りつつ、将来を見据えて梨以外の果物づくりにも思いを巡らせるなど、自分らしい新たな果樹園のかたちを模索しています。
8月から11月まで! 約15品種の梨を楽しめる
果樹園を訪れて驚くのが、栽培している梨の品種の多さです。その数、なんと約15品種!
同じ「梨」でも、品種によって甘みや酸味、食感などはさまざまです。
「果樹園 結いまる」では、8月中旬ごろから「幸水」の収穫がスタート。その後、「豊水」や、9月下旬ごろから収穫が始まる「南水」「あきづき」など、次々と旬を迎えていきます。そして最後に登場するのが「王秋」。収穫は11月中旬ごろまで続きます。

つまり、夏の終わりから秋の深まりまで、約3か月にわたって梨のリレーを楽しめるというわけです。
「この時期はこの梨」というように、旬の移り変わりを追いながら、ぜひ食べ比べて楽しんでほしい果物です。

たくさん実をつけるために、梨は「棚仕立て」で育てます
梨畑を訪れると、木の枝が頭上に広がり、まるで緑の屋根のようになっている光景を目にすると思います。これは「棚仕立て」と呼ばれる梨の代表的な栽培方法。

支柱と針金を使って水平に棚を組み、そこへ梨の枝を誘引して、平らに広げていきます。
枝を広げることで多くの実をつけることができるほか、梨の実が手の届きやすい高さになるため、収穫などの作業もしやすくなるそうです。
枝がきれいに整えられている梨畑ですが、ここまで仕立てるには大変な手間がかかります。
特に重労働なのが、枝を棚に沿わせて「誘引」していく作業。

梨の剪定後に枝同士が重ならないように、鉄線でできた棚に、紐で枝を固定していく
梨の木は放っておけば、好きな方向へ枝を伸ばしていきます。それを人の手で一本一本、棚に沿うように整えていくのです。何気なく手に取る一つの梨も、こうした日々の手入れの積み重ねによって育てられているのですね。

「おいしい梨を収穫する」というと、実がなった時期の作業を想像しがちですが、その前には長い時間をかけた地道な仕事があります。
園主が教えてくれた、おいしい梨の見分け方
せっかく梨を買うなら、できるだけおいしいものを選びたいもの。そこで清水さんに、おいしい梨の見分け方を教えてもらいました。
ポイントは「青すぎないもの」「赤みがないもの」。
そして、もうひとつ注目したいのが梨の表面です。
梨というと表面が少しザラザラしているイメージがありますが、清水さんによると、ザラザラしたものより、ツルツルしたもののほうが熟しているのだそう。店頭などで梨を選ぶときには、色や表面にも注目してみてください。

そして、品種による違いを楽しむなら、ぜひ食べ比べもおすすめです。
清水さんが、数ある品種のなかでも一番好きだというのが「豊水」。

甘みが強くて濃厚な「豊水」、約15種類を育てている園主が選ぶお気に入りと聞けば、ますます気になりますね。
幸水、豊水、南水、あきづき、王秋……。
名前を覚えるだけでも、梨の季節が楽しくなりそうです。
受け継いだ梨農園から新しい果樹園をつくっていく
農業の担い手不足が課題となる中、農業をやりたいという思いを持った人が福島に来て、伝統ある農園を受け継ぎ、さらにその先へつないでいく。そんな姿は、福島の農業にとって、とても心強いことだと感じました。
園主の35歳という若さも、果樹園のこれからを感じさせるところ。
今後は梨だけでなく、桃などにも栽培を広げていきたいと考えているそうです。清水さんが今後、どんな果樹園を育てていくのか楽しみですね。

福島というと、どうしても桃に注目が集まりがちですが、おいしい果物の季節は続いていきます。今年の秋は、いつもの「梨」を味わうだけでなく、品種にも注目してみませんか?
ひとつの農園で出会える、約15種類の梨。
お気に入りの品種を探しながら、福島の秋の味覚を楽しんでみてください。
「果樹園 結いまる」詳細情報
| 住所 | 福島県福島市町庭坂遠原一15-4 |
|---|---|
| TEL | 090-4575-0404 |
| 定休日 | 不定休 |
| 営業時間 | 10:00~15:00(8月中旬頃~10月中旬頃) |
| 狩り取り | 不可/現在狩り取り体験は行っていません |
| 地方発送 | 可能/地方発送も承ります |
| 駐車場 | あり |
| アクセス | JR奥羽本線「庭坂駅」より徒歩約10分。福島交通バス志田または由添団地経由庭坂行き乗車「遠原」下車すぐ。 |