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“車いすに乗り当事者の立場になってみる”【心のバリアフリー おもてなし講座】レポートVol.2

超高齢社会型観光に向け、高齢者疑似体験を通して私たちができること

「心のバリアフリーおもてなし講座」を誌上レポート

ふくしまバリアフリーツアーセンター」センター長の佐藤由香利です。
今回、観光業者の皆様にバリアフリー対応を学んでいただく『心のバリアフリーおもてなし講座』(全4回)を企画運営し、講師も務めさせていただいています。

『心のバリアフリーおもてなし講座』は、高齢者や障がいある方々が安心して旅行を楽しんでいただくために、お客様対応のしかたや環境づくりなどを学んでいただく講座です。
第1回は座学にて概要をお届けしましたが、第2回では受講者のみなさんに実際のおもてなしを擬似的に体験していただく「高齢者疑似体験」を行い、大変好評をいただきました。ここではその模様をご紹介します。

なお、今後のレポートのスケジュールは以下の通りです。

【「心のバリアフリーおもてなし講座」レポート記事配信予定】

■第1回講座(2023年2月7日開催)
 “誰もが楽しく旅ができるふくしま”へ【心のバリアフリー おもてなし講座】レポートVol.1

■第2回高齢者疑似体験(2月15日開催)
 “車いすに乗り当事者の立場になってみる”【心のバリアフリー おもてなし講座】レポートVol.2(この記事)

■第3回知的障がい・発達障がい疑似体験(2月27日開催)
 “誰もが楽しく旅ができるふくしま”へ【心のバリアフリー おもてなし講座】レポートVol.3

実際に体験して理解を深める

第1回の講座では、さまざまな障がいの特性や、どのような配慮をすると良いのかという接し方のポイントなどを説明しました。
そこで学んだ知識についてさらに理解を深めていただくには疑似体験が有効であるという考えから、第2回と第3回は疑似体験を企画しました。

通常は「高齢者疑似体験」と「車いす体験」は別々に開催する内容なのですが、今回の「高齢者疑似体験」は福島市社会福祉協議会様にご協力いただき、特別に「車いす体験」も合わせた内容で行われました。

車いすの操作方法や、乗り手・押し手を体験

1.車いす体験

まず車いすの操作方法の説明をし、そのあと二人一組になり実際に車いすを「開く・閉じる」「乗ってみる・押してみる」などを実際にやっていただきました。「車いすに乗ったのは初めて」という参加者だけでなく、初めて車いすに触る方が多くいました。

≪車いすを押す際のPOINT!≫
・車いすに乗り降りする際や停まる際は、必ず駐車ブレーキをかけましょう。
・車いすを動かす場合は、乗っている方に「進みます」「停まります」と声をかけましょう。段差を越える場合など前輪を上げる場合は特に、上がることを伝えましょう。乗っている方は急に動き出すと驚きます。
・乗っている方が前かがみに座っている場合は怖がっている証拠です。その状態だと押す方も重く感じます。安心して背もたれに背中を付けてもらうと押す方も楽になります。

段差を越える際は、ティッピングレバーを踏み手押しハンドルを引くことで前輪が上がり、段差が越えられることを説明

一人の場合、前輪を浮かし段差を越える体験

二人の場合、車いすの両脇を持って段差を越える体験

三人の場合、車いすの両脇と後ろを持って車いすを持ち上げる体験

四人の場合、車いすの両脇と後ろを持って、楽に車いすを持ち上げられる体験

講師:福島市社会福祉協議会 佐藤さんのコメント
「街なかで段差などで困っている車いすの方を見かけたら、1人よりは2人、2人よりは3人、3人よりは4人のほうが簡単に車いすを持ち上げられます。見かけた際はぜひ手助けをお願いします。これこそ心のバリアフリーです」

重りやベルトなどの装具を装着し、高齢者の立場を体験

2.高齢者疑似体験

高齢者疑似体験では、筋力が弱くなったお年寄りの状態がどんなものなのかを体験するため、ベストを着て、胸ポケット4か所に重りを入れ、両足首にも重りのついたバンドを巻き、両膝のベルトと首の後ろから回した前屈み姿勢体験ベルトを付けます。さらにヘッドホンで耳の聞こえにくさと、ゴーグルをかけて目の見えにくい状態を体験します。

手伝ってもらいながら装具を装着

参加者は以下の3つを体験しました。

①階段の上り下り

特に下りる際は「手を貸してもらわないと怖い」「手すりの必要性が分かった」との声がありました。

②白内障による色の見え方の違い

ゴーグルをつけた状態で見えている色を記入

ゴーグルを外して見える色との違いを知る

③伝言ゲームで「伝えにくさ」と「小銭の支払いにくさ」を体験

参加者は3人1組になり、1番手の方が紙に書かれた金額を2番手に伝え、2番手は3番手まで伝え、3番手の方はその金額を小銭袋から出して支払う、という伝言ゲームを行いました。

ヘッドホンを付けていることで聞こえにくいため、いかに正確に伝えられるか、3番手の方は手袋をした状態で小銭を支払う大変さを体験しました。参加者は「小銭が見えなくて違いがわからない」「なかなか小銭が出せない」との声がありました。

講師:福島市社会福祉協議会 鈴木さんのコメント
「最初に伝えたいことは、何でもかんでも手伝うのではなく、本人の意思を尊重して出来ないところを手助けしてください。また今日の体験を通して感じたことを自分たちの職場に持ち帰り、アレンジして活かし柔軟な対応ができるよう考えて行動してください」

「実際に体験してみることの大切さを感じた」受講者の声

受講された方の感想の一部をご紹介します。

疑似体験がとても勉強になりました。身体が自由に動かないことも大変でしたが、目が見えない、耳が聞こえないことでこんなにも生活が困難になるなんて思ってもみませんでした(特に視力の低下がひどかったです)。車いすに乗ったのも初めてでしたが、少し傾けるだけでも不安な気持ちになったのが驚きでした。また、ペアの方の声かけがとても役に立ったり、嬉しいことがよくわかりました。講義で学んだことをこれからのおもてなしで活かしていきたいです。

高齢者疑似体験で思うように体を動かすことができず、車いすを押されることも怖いと感じたので、手すりや介助、声掛けの必要性を身に染みて理解しました。

講義だけでなく、実際に体験してみることの大切さを感じました。当事者になってみないとわからないことがたくさんあるのだということを改めて感じました。このような機会をいただけてとてもありがたかったです。

疑似体験での視覚の体験が特に印象深かった。 ゴーグルを付けての色の見え方があんなにも違うとは思っていなかった。他にも分かりづらい色もあったが、黄色がほとんど識別できず、小銭を探すとき五円玉が探せなかった。 バディの人は(五円玉があるのになんで分からないんだろう?)と思ったと言っていた。 また、車いすなど今回の擬似体験で感じたことを、これからの高齢者の対応に活かしていきたい。

今後の講座スケジュール

今回の講座は、ご高齢の方や障がいのある方も含めたすべての方に安心して福島の旅を楽しんでいただくため、さらなるおもてなしの向上を目的として開催するものです。

  • 第 1 回:2月7日(火) ⇒終了
  • 第 2 回:2月15日(水)高齢者疑似体験 ⇒終了
  • 第 3 回:2月27日(月)知的障がい・発達障がい疑似体験 ⇒終了
  • 第 4 回:2月末 動画配信開始 ⇒終了
    観光庁「観光施設における心のバリアフリー認定制度」の申請について(YouTube)

観光庁の「観光施設における心のバリアフリー認定制度」の認定取得を目指している観光業者は、この講座を受講することで、認定基準の1つ(バリアフリーに関する教育訓練を年に1回以上実施している)を満たすことが可能です。なお、この認定を受けているということは、『バリアフリーのおもてなし』を理解している施設としてお客様に選ばれる基準となります。

第3回の「知的障がい・発達障がい疑似体験」はまず、知的障がい・発達障がいとはどんな障がいなのかを知り、当事者の戸惑いなどの「困り感」を疑似体験することで、どのような配慮があると良いのかを学ぶ、驚きの疑似体験です。

こうした取り組みを県内外へも広く展開していくため取材も受け付けておりますので、マスコミ等メディア関係の方々はぜひ取材のご検討をお願いいたします。

心のバリアフリーおもてなし講座(入門編) 開講のお知らせ

【 第3回 知的障がい・発達障がい疑似体験】

 開催日 2023年2月27日(月)
 開催時間 13:30~14:30
会場 コラッセふくしま 302会議室
取材申込先 運営担当: 村田 崇
電話:024-563-5554
E-mail:murata-t@f-kankou.jp

 

福島市では「心のバリアフリー出前講座」も開催中

今回ご協力いただいた福島市社会福祉協議会では、高齢者疑似体験以外にも、手引き体験や手話講座・点字体験などの「心のバリアフリー出前講座」を行っています(※団体での申込みに限る)。
さらなるおもてなし向上を目指す観光業者様は、社員教育に「心のバリアフリー出前講座」を検討してはいかがでしょうか?

「心のバリアフリー出前講座」のご案内

心のバリアフリー冊子(PDF)

【心のバリアフリー出前講座 申込・お問い合わせ先】

福島市社会福祉協議会 地域福祉係
電話番号:024-533-8877
ホームページ:心のバリアフリー出前講座

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