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【福島市ご当地グルメ】「円盤餃子」名店シリーズ 第2回:円盤餃子発祥の店「満腹(まんぷく)」

餃子は主食! “焼き一生”の手仕事が紡いだ、福島の原点の味

餃子の街といえば、宇都宮? それとも浜松? 実は、福島市にも忘れてはいけない名物餃子があります。

戦後の闇市から生まれ、今や文化庁の「100年フード」にも認定された福島市のご当地グルメ「円盤餃子」。 フライパンに円形にずらりと並べ、一度にたっぷり焼き上げ、皿にひっくり返す。その迫力ある見た目と、野菜たっぷりの軽やかな味わいが特徴です。

そんな“福島の味”を受け継ぐ店を訪ねる円盤餃子の名店シリーズ。第2回となる今回は、福島の円盤餃子文化の原点!
戦後の屋台から始まり、70余年たった今も人々のお腹と心を満たし続ける「満腹(まんぷく)」をご紹介します。

円盤餃子文化の原点「満腹」

藍色の暖簾が目を引く満腹の外観

戦後の暮らしの中から生まれた、福島の円盤餃子文化。その原点にあるのが、昭和28年(1953年)創業の「満腹(まんぷく)」です。

創業者の菅野かつゑさんは、戦後、旧満州から引き揚げてきた一人。食べることにも苦労する時代に「お腹いっぱい食べさせてあげたい」という想いを胸に、満州で親しんだ水餃子をヒントに、鉄鍋にぐるりと円を描くように並べて一度に焼く“円盤餃子”を考案。白米が貴重だった時代、餃子一皿でお腹を満たせるこのスタイルが評判を呼びました。

「餃子でみんなのお腹を満腹にしたい……そんな思いを一つひとつの餃子に込めています」と教えてくれたのは、かつゑさんの孫で、現在の女将・椎野仁子さん。

現在の女将・椎野仁子さん

笑顔が素敵な現在の女将・椎野仁子さん

一度にたくさん焼けて、みんなで分け合える円盤餃子は、戦後の混乱期から復興・成長の時代を通して、人々の“明日の活力”となり、福島のソウルフードとして根付いています。

祖母の手から孫の手へ。受け継がれる円盤餃子の技

91歳まで現場に立ち続けた、かつゑさん。お客さんからは“名物ばあちゃん”として親しまれ、時に怖がられるほどの情熱をもって餃子を焼き続けたそうです。その姿勢と技術は、現在もしっかりと受け継がれています。

有名人や常連客のサインが並ぶ店内。70年の歴史が、壁一面に刻まれています。

満腹の餃子を堪能した有名人のサインが並ぶ店内は、カウンター席と小上がりがある。

「ばぁちゃんは“手のし3年、包み5年、団子一生、焼き一生”ってよく言っていました。皮をのばす手のしに3年、包む作業に5年。そして、生地(団子)づくりと焼き方は一生かかっても極めきれないと」と、椎野さん。

どこか懐かしさを感じる店内。カウンター越しに焼きたての餃子を待つ時間も楽しみのひとつ。

カウンター越しに焼きたての餃子を待つ時間も楽しみのひとつ。

餡には、豚ひき肉、ネギ、ニラ、ニンニク、しょうがなどが入っていますが、主役は白菜満州では三冬菜(さんとうさい)って言って、白菜が主流だったんです」と椎野さん。

白菜を切って水分を絞り、冷蔵庫で風を当てながら最低2日は寝かせるそう。白菜の水分をじっくり飛ばすことで白菜特有の青臭さや苦味が抜けまろやかに、そして甘みと旨みは凝縮します。

熟練の手つきで一つひとつ丁寧に包まれる餃子。

熟練の手つきで一つひとつていねいに包まれる餃子。

また皮は、2種類の粉のブレンド。満腹では創業当時から「餃子は皮を食べるもの!」と育ってきたと椎野さん。皮(団子)の仕込みは、まるで生き物を育てるようなものだそうで、その日の天候や温度、湿度の変化に合わせて、調整をしていきます。

そして焼きは、音で判断しながら30個を一度に焼き上げます。
「グツグツがパチパチに変わったらもうすぐ。蓋を開けるのが早いと、旨みが逃げちゃうんです」と椎野さん。 “団子一生”の教えの通り、今でも毎日が真剣勝負。

焼き上げまで12〜13分。皿に返すと、黄金色の円盤が湯気をまとって現れます。まさに、職人の長年の経験と感覚が詰まった、“一生をかけるに値する技”です。

“ごはんは、いらない。” 餃子が主食の世界観

満腹には、ごはんも麺もありません。それ故に「えっ、ごはんはないんですか?」と驚くお客さんも少なくないと椎野さん。

満腹では、餃子が食事の主役。ごはんや麺類を出さないのは、かつゑばあちゃんからの想いと信念に基づいています。

円盤餃子(一皿30個)1,980円

円盤餃子(一皿30個)1,980円

皮は炭水化物、餡は野菜と肉。ひと皿の中で、ごはんとおかずの役割がすでにひとつになってる円盤餃子は、戦後の知恵から生まれた“主食の文化”。

小麦の香りと焼き目の香ばしさを味わいながら、手間を惜しまない仕込みとていねいに焼き上げる職人の技、そしてこれまで紡いできた歴史を感じながら食べる円盤餃子は、満足感に包まれます。完全手練りの皮だからこそ味わえる、ツルツル、シコシコ、そしてモチモチの三拍子をお楽しみください。

たっぷり詰まった白菜。噛むほどに甘みと旨みが広がる。

そして、この味を支えているのが、創業当時から続く秘伝のタレ!
「ラー油1:酢3:醤油2」と、酢が主役のさっぱりとしたタレが、白菜の甘みと皮の香ばしさを引き立てます。

餃子を食べると、外はカリッ、中はもちっと。皮の香ばしさと白菜の甘み・旨みが凝縮され、ふわっと広がる味わいです。脂っこさがなく、食べ終えたあとも重さが残らない。ときどきニンニクや追いラー油をして味変。気づけば、皿の上の円盤があっという間に消えていました。

「ばあちゃん、タレの作り方には本当にうるさかったんです(笑)。“おいしく食べてほしい”という気持ちが誰よりも強い人でした」と椎野さん。

黄金色の円盤餃子に、冷えたビールを合わせて。

黄金色の円盤餃子に、冷えたビールを合わせて。

ビールを片手に味わう円盤餃子は、一日の疲れを吹き飛ばす最高のご褒美! お腹も心も満たされ、また明日も頑張ろう、そう思えます。

円盤餃子は、明日の活力!

単なるご当地グルメではなく、“働く人の明日の活力”として、福島の街と共に歩んできた円盤餃子。

手間を惜しまない一つひとつの工夫とていねいさが、70年以上たった今も変わらず、人々の心とお腹を満たし続けています。ぜひあなたも、この味とこの歴史を体感しに「満腹」の暖簾をくぐりにきてくださいね。

店舗名 元祖円盤餃子 満腹
住所 福島市仲間町1-24
TEL 024-521-3787
営業時間 月・木・金曜日/16:30~ 21:30(LO 21:00)
土・日・祝日/11:40~
※平日、土日祝ともに餃子がなくなり次第営業終了
定休日 火曜日・水曜日(祝日の場合はお問合せください)
駐車場 提携コインパーキング(宮前パーキング/福島市中央駐車場)を利用すると2,000円以上の利用で1時間無料券あり。
アクセス 福島駅東口より徒歩約15分
HP・SNS 公式ホームページ
備考 ・現金またはPayPayで支払い可能。
・カウンター8席、椅子席6席、座敷6卓。

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番匠亜沙美

レギュラーライター / 動画クリエイター

番匠亜沙美

仙台市出身。出産を機に時間や場所に縛られない仕事がしたいと、2016年に介護職から一転、未経験ながらフリーライターの活動を開始。2018年に福島市に転居、2020年公募で観光ノートのライターとなる。YouTubeチーム発足後は動画編集やサムネ制作、DTPなど幅広く活動。相手の立場にたった感受性豊かなコンテンツ制作を目指している。

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