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【特集:ふくしまを盛り上げる人たち】Vol.1 GoodDayMarket 佐藤宏美さん

生産者と消費者が直接つながるマーケットで「福島の食と農を盛り上げたい!」

生産者の顔が見えるマーケット「GoodDayMarket」

福島駅前東口広場で毎週日曜日に開催されている「GoodDayMarket」。地元の農家さんたちが集まり、旬の野菜や果物、六次化商品などを直接販売する青空市場です(1~3月は第3日曜日の開催)。
生産者と会話をしながら楽しく商品を選び、購入できるマーケットで、生産者と消費者がつながる貴重な場となっています。

市民はもちろん、福島を訪れる観光客からも人気を集めている「GoodDayMarket」。
主催するのは「一般社団法人GDMふくしま」代表理事を務める佐藤宏美さんです。

地域を盛り上げる活動をされている佐藤さんに、マーケットを始めたきっかけや地域への思いなど、お話をお聞きしてきました。

震災をきっかけにUターン「福島の食と農の力を信じる」

2022年10月、福島駅前東口広場「GoodDayMarket」の様子
<画像:「GoodDayMarketふくしま」FBより転載>

―福島でマーケットを始めようと思ったきっかけを教えていただけますか?

きっかけは、やはり東日本大震災ですね。震災当時は京都で食に携わる仕事をしていました。震災がなければ、福島に戻ってくることはなかったと思います。

原発事故で自分が生まれ育った「福島」が、アルファベットやカタカナで世界に発信されることに衝撃を受けました。私自身が福島の食べ物で育ちましたから、その美味しさはよく知っています。それなのに、マイナスのイメージとなって世界に伝わってしまうことを悔しく感じていました。

「福島はこんなもんじゃない!」なんとかしたいという思いで2014年に福島に戻ってきました。

農家さんを回って話を聞き、放射性物質による被害やその対策、耕作放棄地の増加などの苦労や問題を知るほどに、消費者にも知ってほしいという思いが強くなりました。

スーパーに行ってお金を払えば何でも手に入れられる時代ですが、生産者の顔が見える場、正しい情報を直接伝えられる場を作りたいと思い、2016年4月から月1回のマーケットをスタートさせました。イベントとしてではなく、マーケットを日常に根付くものにするため、その年の7月からは毎週日曜日に開催するようになりました。
2018年にはキッチンカーも導入し、マーケットに出店している生産者さんの農産物を使った料理も提供しています。

「GoodDayMarket」に並ぶ新鮮な農産物。スーパーには並ばない珍しい農産物が販売されることも
<画像:「GoodDayMarketふくしま」FBより転載>

「お百しょう屋」がはぐくむ人とのつながり

―マーケットを日常に根付いたものにしたいという思いが、野菜直売所「お百しょう屋」にもつながったのでしょうか

そうですね。マーケットは日曜日だけの開催でしたから、平日も野菜の販売ができる場所を作りたいと考えていました。
そして街なかの飲食店にも地元の野菜を使ってもらえたらいいなという思いもあり、中心部のパセオ通り沿いで「お百しょう屋」をオープンしました。

福島市本町・パセオ通り沿いの「お百しょう屋」、毎日新鮮な野菜や果物が生産者から届く

―オープンは2020年の3月でしたね、コロナの影響が大きかったのではないでしょうか?

そのとおりです。当時は人もほとんど歩いていませんでしたし、周囲の飲食店も休業や撤退が続き、かなりの痛手でした。

でも少しずつ、近所の人や、街なかに通勤している人たちに来ていただけるようになりました。仕事で平日街なかに来ている人は、週末はあまり駅前には来ないという人が多かったので、そういう方に日曜日のマーケットを知っていただく機会にもなりました。
農家さんにとっても毎日野菜を売る場ができましたし、お店をオープンしたことでプラスになったことも多かったです。

コロナ以降は、日曜のマーケットに来てくださるお客さんにも変化がありました。以前は年配の方が多かったのですが、最近は若い人や、小さなお子さんのいる家族連れなどが増えています。
コロナをきっかけに健康や食について改めて考える人が増え、有機農産物への関心が高まっています。農業に興味を持つ方も増えて、追い風が吹いているように感じています。常連さんも増えているんです。

無農薬栽培の真っ赤な金時人参は1袋200円、太く立派な大根も1本50円とお手頃価格

―「お百しょう屋」はカフェなどを始めたいという方に場所を提供し、起業を目指す若い方の支援の場になっていますね

私が毎日お店に出ている時間はないので、カフェなどをやりたいと思っている人に「場所を貸すかわりに野菜を売ってもらう」という、お店を運営していくために考えた仕組みでした。支援というよりは、むしろ私の方が助けてもらっているという思いです。
チャレンジしたい人が営業する場を借りることができる、私はお店を手伝ってもらえる、お互いWin-Winの関係ですね。

支援なんて何もしていないですが、結果的にこの場所がきっかけとなり自分のお店を持ち独立された方もいますので、それは本当に嬉しいことですね。

お百しょう屋 詳細ページ

農業を知れば知るほどに見えてきたもの

―農業にはもともと興味があったのでしょうか? ご実家が農家だったとか?

そういうわけではないんです。ただずっと食に携わる仕事をしてきたので、その中で全国の農家さんたちと関わる機会は多かったですね。田んぼや畑を見に行ったりもしていて、だんだん農業への関心が高まったのだと思います。

そして仕事をする中で、少しずつ福島県内の農家さんとも繋がりが出てくるようになっていました。

―現在はご自身でも農業をされているのですよね

まだ農業と呼べるほどではないのですが、仲間と一緒に2018年から無農薬・無肥料の米作りをしていますし、畑も借りています。農家さんたちに教えてもらい、勉強しながらやっています。

今、自分の核となるものは農業ですが、農業を知れば知るほどに、環境の問題へと関心が繋がっていくんですよね。
農薬を使わない田んぼでは、生き物の様子がだんだん変わってきていることを感じています。いろいろな虫たちの姿が見られるようになりました。すると今度はそれを食べるカエルや鳥が来るようになって、どんどん生き物が増えているんです。これが本来の自然の形だったんだなって実感しています。
そういうものを未来の子供たちに残していかなきゃいけないなって思うようになりました。

若い頃は、世界の大きな問題にばかり目を向けていました。自分の足元が全然見えていなかったんですね。自分のすぐ近くにもいろいろな問題があったことに気づかされ、今はそれを少しでも解決できたらいいなと思っています。

「次の世代のために、自分にできることを少しずつ」

―今後はどんなことがしたいですか?

やっぱり一番は農業がしたいですね。今はなかなか農業に向き合う時間が取れない状況なので、今後はこれまでやってきたことの仕組みをもう少し整えていきたいと思っています。人に任せられることは任せて、自分が農業に向き合う時間をもっと増やしたいですね。

今やっていることのベースは変えず、一緒にやってくれる仲間をもっと増やし、植物と動物が共存できる田んぼや畑を作っていきたいです。
これまでは自分のために生きてきたので、今後は次の世代のためにできることを少しでも行っていけたらいいなと、そんなふうに考えています。

取材を終えて

地域のためにさまざまな活動を行い、多忙な日々を過ごしながらも「自分が好きでやっていることばかりなので、大変だとは思わないんです」と話す佐藤さん。

今回お話をお聞きして、地域や未来の子供たちのために尽力される佐藤さんへ感謝の気持ちがあふれるとともに、佐藤さんの「福島の食と農を盛り上げたい!」という強い想いに、胸が熱くなりました。

ぜひ、日曜日の「GoodDayMarket」へ出かけてみてください。生産者さんと仲良くなって、畑のお手伝いをしている常連さんもいらっしゃるそうですよ。

一般社団法人GDMふくしま 代表理事 佐藤宏美さん
プロフィール:福島県出身。大学卒業後、京都の料亭に勤務しながら日本食や伝統文化について学ぶ。東日本大震災をきっかけに2014年に福島にUターン。「福島の食と農を盛り上げたい」という思いから、青空市場「GoodDayMarket」を企画・運営。2018年一般社団法人GDMふくしまを設立。自身でも無農薬・無化学肥料での農業に挑戦しながら、「GoodDayMarket」の他、「お百しょう屋」「如春荘」などの運営も行う。毎週火曜日にはFMポコでラジオのパーソナリティもこなしている。

如春荘 詳細ページ

GoodDayMarket開催情報

 開催場所

福島駅前東口広場

 開催日

4月~12月の毎週日曜日

1~3月の第3日曜日

開催時間

10:00~15:00(雨天決行、暴風時は中止)

SNS

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