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「じゃらん満足度一位」高湯温泉のディープな魅力(前編)

温泉好きなら知っておきたい!

温泉好きなら知っておきたい!「じゃらん満足度一位」高湯温泉のディープな魅力

福島にはまだまだ知られていない魅力がたくさん。「福島市観光ノート」では、そんな魅力をどんどん掘りおこして皆さんにお伝えしていきます。観光情報を探している方はもちろん、地元の方も楽しめるサイトを目指しています。

首都圏からのアクセスがいい東北の秘湯

熊坂仁美と申します。今回は福島市にある3つの温泉のひとつ、400年の歴史を持つ「高湯温泉」の魅力に迫ります。

高湯温泉はこんなところです。

安達屋旅館大露天風呂

安達屋旅館大露天風呂(写真:高湯温泉観光協会)

どうですか、この雰囲気。思わず行きたくなったでしょう。高湯温泉は標高2,000メートルの活火山「吾妻山」から湧き出る硫黄泉で、乳白色のお湯が特徴です。写真ではわかりませんが、硫黄の匂いが常に立ちこめています。身体を癒やしたい方、静かな時間をゆっくり過ごしたい方にぴったりの温泉。2017年じゃらん温泉地満足度ランキングで全国一位に輝きました。

秘湯感のある写真から、かなり奥深い山の中にあると思われがちですが、実はアクセスもいいのです。ドライブなら東北自動車道を北上して東京から3時間ちょっと。新幹線ならJR東北線福島駅西口から30分。「磐梯吾妻スカイライン」の観光道路を目指し、くねくねとうねる山岳道路を抜け、最後のカーブを曲がって玉子湯の看板が現れたら、そこが高湯温泉の入り口です。

車の窓を開ければ、あたりに漂う硫黄の匂い。温泉好きならその瞬間に心つかまれるでしょう。

玉子湯からさらに少し上ると、川沿いに湯けむりが立ち上っているのが見えます。そのすぐそばに共同浴場「あったか湯」があります。

あったか湯

「あったか湯」全景(写真:高湯温泉公式YouTubeチャンネルより

あったか湯

吾妻山登山や人気スポット「浄土平」の帰りに立ち寄る人も多い。

露天だけのこじんまりしたお風呂ですが、250円で楽しめるとあって、旅人だけでなく地元民からも愛されています。かくいう私も大ファンで、時間があれば車を飛ばして来てしまいます。特に土曜の朝いちばんに行くと、一週間の仕事の疲れが癒やされ身体も心もリセットされて最高なのです。

「あったか湯」貸切露天風呂

「あったか湯」貸切露天風呂。入場料プラス1,000円の利用料で50分間使用できる。

数え切れないほど通っている「あったか湯」ですが、今回はお風呂ではなく、取材。この建物は「高湯温泉観光協会」も兼ねているのです。

お出迎えいただいたのは、あったか湯館長の永山博昭さん。

あったか湯館長の永山博昭さん

永山さんは「高湯温泉観光協会」事務局長でもあります。高湯温泉にあふれる情熱を注ぐ永山さんに、高湯温泉の魅力についてお話を伺いました。

「源泉かけ流し」の正しい意味とは

— 永山さんよろしくお願いします。いつも思うのですが、高湯温泉のパンフレット、素敵ですねー。公式サイトの写真も、どれも芸術的で素晴らしいです。

高湯温泉のパンフレット

見るだけで旅行気分に浸れる高湯温泉のパンフレット

永山:ありがとうございます。写真にはこだわっていて、長年おつきあいのあるカメラマンの方に何年もかけて撮っていただいてます。公式ウェブサイトもこの写真を活かして作りました。

— パンフレットの表紙に平成22年6月1日 源泉かけ流し宣言を発表しましたと書いてあるのが気になっています。お恥ずかしいのですが、「源泉かけ流し」って、言葉はよく聞くんですけど、意味がよくわかってなくて。

永山:源泉かけ流しとは、お湯を100リットル浴槽に注ぎ入れたら100リットル捨てるということです。

— えっ?捨てるんですか。

永山:そうすることでお客様には常に新鮮な温泉に入っていただけるわけです。

— 私はてっきり「沸かし湯ではない」くらいの意味だと思っていました。

永山:もちろん、加温や加水をしないというのもありますが、「お湯を入れたら捨てる」というところが大事なんです。私どもは地域ぐるみで厳しくそれをやっています。

— 高湯温泉全体で旅館は何軒あるんですか。

永山: 7軒ですが、男湯、女湯、露天、家族風呂など合わせると温泉浴槽が53あります。そのすべてが源泉かけ流しなんです。循環風呂が一つでもあると、地域単位での「源泉かけ流し宣言」はできませんから、これは結構ハードルが高くて、全国でも珍しいと思います。

お風呂が源泉かけ流し

どの旅館に行ってもすべてのお風呂が源泉かけ流し(写真:高湯温泉公式YouTubeチャンネルより

— 「うちの旅館では家族風呂は循環にします」とかは通用しないわけですよね。確かにハードルが高そうです。

永山:この温泉に対するこだわりは、高湯温泉の歴史に理由があります。1607年に開湯しているのですが、そのときから地域を守るためのしきたりがあって、旅館主さんたちはそれをずっと守り続けているのです。

— 400年守っている地域のしきたり・・・ちょっと怖いですが興味あります。

永山:二つありまして、まず一つは一切の鳴り物禁止という決まりごとです。

— 鳴り物?

永山:三味線とか太鼓など音を出すもののことです。娯楽の場所ではなく、あくまで湯治を目的とした温泉地であることを貫いているのですその他の娯楽として盆踊りとか、部屋での腕相撲なども禁止でした。

玉子湯藁葺湯小屋

湯治場の雰囲気を残す玉子湯藁葺湯小屋(写真:高湯温泉観光協会)

— 盆踊りまで禁止って、めちゃめちゃストイックですね。もう一つは?

永山:山を荒らすな。温泉というのは奇跡的なバランスによって出てくる自然の恵みなので、山をいじるとお湯が出なくなったり力が落ちてしまうんです。実際、昭和34年に「磐梯吾妻スカイライン」ができましたが、お湯には影響がないということで工事が進められたものの、やはり道路直下の源泉温度が下がって、旅館主さんたちからは「ほら見たことか」との声が上がったそうです。

— そういえば高湯って、私が子供の頃から変わらない印象です。いたずらに観光化されなかったところは、今となっては大きな魅力になっていますね。

高湯に伝わる効果的な湯治のやりかた

永山:ところで三日一廻り三廻り十日という湯治入浴の仕方というのがあるんですが。ご存じでしたか。

— みっかひとまわりみまわりとうか?・・・いえ、知りません。というか、今日は知らないことばかりでびっくりしてます。

永山:3日を一廻りとしてそれを3回(三廻り)、という高湯に伝わる入浴法のことです。最初の3日で身体を慣らし、次の3日で患部の悪いところが腫れてくるなど「湯さわり」の現象が起きます。そして最後の3日でそれが改善します。

— つまり療養効果を最大限に得るには10日必要だということですね。

永山:そうです。この入浴法で、足が悪くて杖をついてここに来た人が帰るときには杖を忘れていった、なんてエピソードもたくさんあります。

— 確かに日帰りでも十分に効果を感じるので、10日もいたらすごいだろうとは想像できます。でも実際問題、10日はちょっとハードルが高いかなあ・・・

永山:おっしゃる通りで、ほとんどの方は一泊でお帰りになります。それでも一廻り3日というのは、ほかの温泉と比べるとかなり短いんですよ。関東圏の療養で有名な温泉でも「一廻り7日」と言われています。三廻りだと高湯と同じ効果を得るのに3週間かかります。

科学的に証明された高湯温泉の「湯力」

— なぜ高湯温泉はそんなに効能が高いのですか。

永山:それについてはちゃんと科学的な解明をして、冊子にもしていますのでぜひご覧ください。デジタルパンプレットにもなっています。(「高湯温泉録」デジタルパンフレット)東日本大震災のあと、復興補助金を使って、温泉研究の第一人者であるモンゴル国立医科大学の松田忠徳教授の指導のもと、モニターさんを使った検証事業を行ったんです。

— 「温泉が効く」をデータで証明したわけですね。

永山:そうです。そこで初めてわかったことなのですが、温泉というと含有成分に目が行きがちですが、高湯のお湯が優れているのはむしろ「水」のほうだったということです。

— え?水、ですか??

永山:温泉で買った湯ノ花を自宅のお風呂に入れても、実際の温泉ほどの効果が出ませんよね。療養効果を得るには成分だけでなく、成分が溶けている水の力も重要なのです。高湯の場合、その水の力がかなり強いというデータが出ています。

— なるほど。温泉を「成分」と「水」に分けて調べたわけですね。

永山:水は空気に触れることで酸化して古くなります。つまり老化します。温泉というのは酸素のない地中の奥深くで生まれますが、地表に湧き出たとたんに空気に触れてどんどんパワーをなくしていきます。でも高湯の場合、元々お湯のパワーが強い上に、湧き出たお湯をなるべく新鮮なまま引き湯する工夫をしているからお湯のパワーが保たれているんです。

— 新鮮なまま引き湯する工夫とは、たとえばどんなことですか?

永山:実際に源泉のところで説明したほうがわかりやすいのでご案内しましょう。ちょっとした実験もお見せします。

— やった!お話をお聞きしていたら、源泉を見たくなって、さっきからウズウズしていたのです。

— ということで、永山さんに案内いただき、あったか湯のそばの鍵がかかった階段を降りて源泉の場所へ。

高湯26番滝の湯

9つある高湯の源泉。あったか湯そばの源泉の正式名称は「高湯26番滝の湯」。

下に降りるとなぜか白い砂土で、どことなくエジプト感が漂います。

高湯26番滝の湯

カバーがかけられた源泉。やはりエジプトっぽい。永山さんが考古学者に見えてきました。

高湯26番滝の湯

カバーの下にあった木の蓋がずらされ・・・

高湯26番滝の湯

そしてついに姿を現した源泉!

高湯26番滝の湯

高湯温泉のパワーの秘密が明らかになる後篇にご期待ください。

高湯温泉のディープな魅力(後篇)につづく

【高湯温泉公式サイト】http://www.takayuonsen.jp
【取材・執筆・撮影】熊坂仁美
【取材協力】高湯温泉観光協会

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