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【ぼんさいや あべ】若者をも虜にする「吾妻五葉松盆栽」の魅力とは?

満員御礼!「盆栽のはじめ方」オンラインツアー見学レポート

オンラインツアー中の大樹さん

ぼんさいや「あべ」は、福島市で3代にわたって90年以上続く老舗の盆栽園。吾妻山に自生する五葉松の姿を表現した「吾妻五葉松盆栽」の文化を守り続けています。

ぼんさいや「あべ」の3代目である阿部大樹さんは、盆栽の「今」を正しく知ってもらえるよう、SNSで情報発信したり、先進的なワークショップを数多く企画しています。

今回は、2021年12月某日にぼんさいや「あべ」さん宅で行われた盆栽ワークショップのオンラインツアーを見学させてもらい、盆栽の奥深さを「体験」させてもらいました。

「五葉松盆栽のはじめ方」オンラインツアーレポート

ぼんさいや「あべ」の盆栽棚

ぼんさいや「あべ」の盆栽棚

「\開園90年以上の老舗からお届け/ “吾妻山の大自然から学ぶ” 五葉松盆栽のはじめ方」と題したこのオンラインツアー。当日は、Zoomの会場に老若男女、幅広い年代の方々が全国各地から集結しました。

ツアーの案内人は、ぼんさいや「あべ」の3代目である盆栽作家の阿部大樹さん。

参加者には事前に、このツアーのために特別に育ててきた実生5~6年目の吾妻五葉松の苗木をご自宅に送っています。

大樹さん:
定員30名いっぱいになって嬉しかったです。若い方にも興味を持ってもらえて。参加者の経験者と初心者の割合は半々くらいでしたね。

左がクロマツ、右が五葉松それぞれ実生3年目の苗木。五葉松は成長速度がゆっくりなのが特徴。

左がクロマツ、右が五葉松それぞれ実生3年目の苗木。五葉松は成長速度がゆっくりなのが特徴

当日のツアーは下記のような流れで進められました。

  • オープニング
  • ぼんさいや「あべ」から中継
  • 「古葉刈り」に挑戦!
  • 質疑応答
  • 記念撮影

まずは、ぼんさいや「あべ」の紹介動画を見たり、手元の苗木がどのように育ってきたか解説を受けたりしながら、阿部家の盆栽の「ストーリー」を知る時間がありました。

そのあとはいよいよ「古葉刈り」の実践。
新しい芽や葉の成長を妨げる古い葉を剪定する大事な作業です。

大樹さんによる「古葉刈り」のレクチャー

大樹さんから「古葉刈り」のレクチャーを受けてから、実際に作業スタート。
作業の10分間、参加者の皆さんの表情は真剣そのものでした。

ツアー参加者の「古葉刈り」の様子を眺める大樹さん

ツアー参加者の「古葉刈り」の様子を眺める大樹さん

続いて、冬越えのため盆栽の管理法を勉強し、質疑応答では時間内にさばききれないほど質問が出ました。

ツアー参加者には動画の一週間見逃し配信特典もあり、大樹さんのレクチャーを何度でも見直すことができます。初心者の方でも安心ですね。

参加者みんなで記念撮影

参加者みんなで記念撮影

ツアー終盤、大樹さんから参加者への印象的なメッセージをご紹介します。

大樹さん:
皆さんにお送りした手元の苗木は、一冊の本のようなものです。これを入口に、阿部家の盆栽を知り、吾妻山を知り、そして福島のことを知ってください。旅をするにも、ただ観光するのと物語を知っていて訪れるのでは、感動が天と地ほど違います。ロケ地巡りの感覚と同じです。この盆栽をきっかけに、ぜひいつか吾妻山へ来てください。

あっという間に時間は過ぎ、予定時間を少しオーバーして、大盛況の内にツアーは終了しました。

 

大樹さんの盆栽と吾妻山の「ストーリー」

阿部家の盆栽棚

阿部家の盆栽棚

大樹さんの盆栽を語るには、吾妻山との関係は切っても切り離せません。「なぜ盆栽と吾妻山が関係あるの?」と思われる方も多いと思います。
それでは、ひとつずつ紐解いていきましょう。

種一粒から盆栽を育てる「実生(みしょう)」

手前が実生1年目、奥が3年目の苗。五葉松の成長の緩やかさがよくわかります

手前が実生1年目、奥が3年目の苗。五葉松の成長の緩やかさがよくわかります

阿部家の盆栽は、自生している松を堀り出して盆栽に仕立てるのではなく、種一粒から盆栽に育て上げています。一つの種が苗になり、盆栽になるまでは、少なくとも十年以上はかかります。実生は、それだけ手間と時間のかかる技法です。
五葉松の種は、吾妻山の五葉松の自生地に入って採取し、計量して買い取っています。
※国立公園である吾妻山に入るため、阿部家は特別な許可を貰っています。

空間有美(くうかんゆうび)

空間有美

阿部家では、「空間有美」という教えがあります。これは、ぼんさいや「あべ」初代で大樹さんの祖父、倉吉さんが提唱した言葉。文字通り、「空間には美しさがある」という意味です。
大自然に自生する木の幹や枝葉の空間が有する美しさを、そのまま盆栽に表現することを大事にしてきました。

吾妻山に自生する五葉松は、厳しい自然環境で何百年と風雪に耐えています。幹肌は荒々しく、枝は雪の重みに負けじと上を向き、山の粘土質の斜面に生えた根は表土が落ちてむき出しになっている(=根上がり)などなど、力強い姿を見せてくれると大樹さんは語ります。

そのような自然の姿を盆栽に映しとるためには、実生5~6年の苗木の時点で「仕立てる」必要があります。

仕立てのひとつが「曲付け(きょくづけ)」。

曲入れの様子

針金で固定した苗木の数か所に、ひねりを加えます。(かなり思い切りよく!)
私も実際に曲付け体験させてもらいましたが、「えぇっ、こんなに強くひねって大丈夫!?💦」と心配になるほど。

左手前が大樹さん曲入れ後、右上が曲入れ前の苗木

左手前が大樹さん曲付け後、右上が曲付け前の苗木

こうして苗木に曲付けをすることで、数十年後、美しくうねった幹に成長し、吾妻山の厳しい自然を盆栽に表現することができるといいます。

大樹さん:
「自然がお手本」と、このやり方を祖父の代から受け継いできました。吾妻五葉松、実生、空間有美。この「阿部家の文化」そのものを価値として伝えていきたいです。

大樹さんが盆栽を通して実現したいこと

オンラインツアー中の大樹さん

盆栽の普及のため精力的に活動中

大樹さんは、苔玉づくりや宿泊での盆栽合宿、吾妻山での自生地ツアーなど、さまざまなワークショップを通じて、盆栽の普及に力を入れています。
コロナ禍で規模を縮小したり、中止を余儀なくされたものもありますが、今後は阿部家を舞台に盆栽園の弟子体験なども企画しているそうですよ。

また、YouTubeなどの各種SNSを通じて、盆栽の再生の様子や、阿部家の活動の紹介、イベントなどでのライブ配信など、生の情報を配信し続けています。
SNSを見て、今回のオンラインツアーに参加してくれた若い世代の方も多いといいます。

吾妻五葉松を正しく知ってもらうために「種をまき続ける」

youtubeではたくさんの事例も紹介しています

youtubeではたくさんの事例も紹介しています

大樹さん:
僕の使命は「種をまき続けること」だと思っています。
「実生」もですけど、「SNSなどで吾妻五葉松盆栽の正しい情報を発信し続けること」も大切です。

大樹さんがこう話すのには理由があります。

日本の五葉松三大産地に「吾妻」「那須」「四国」がありますが、昔から「福島(吾妻)は松の質が悪い」と言われ、安く買いたたかれてきた歴史があり、60~70年経った今でもまだ誤解している人が多いんだそうです。

盆栽の業界雑誌に、吾妻五葉松の盆栽が別の産地の松だと紹介されているのを見て、大樹さんは悔しい思いをすることも。
吾妻五葉松が別の産地の松として高値で取引された過去の名残がまだまだあるのだそうです。

大樹さん:
吾妻五葉松の中には特徴的な品種もあり、見る人が見れば一目で分かります。でも、絵画と違って盆栽には落款(作者の名前の判)を押すことができません。
一度産地を離れた盆栽を吾妻五葉松だと証明することは難しいです。

大樹さんはこの境遇を、東日本大震災の原発で風評被害を受けた福島の状況と似ていると感じています。今でも生産者は、福島の地で育った食べ物の安全性を証明し、発信し続けています。

大樹さん:
それと同じで、僕も「阿部家の盆栽と福島の吾妻山」について、正しい情報を発信し続ける必要があると思っています。でもそれで「福島の松は質が悪い」という古い時代からの固定観念を変えられるとは思っていません。
そうではなくて、日本や全世界、たくさんの人に、ぼんさいや「あべ」の今を正しく知ってもらって、阿部家の盆栽や吾妻山のファンを増やしたい。僕のストーリーに共感してくれた人にこそ、福島に来てほしいです。

オンラインが発達しても求められる「体験」

コロナ禍でオンラインの技術が急速に発達し、全国・全世界と気軽に繋がることができるようになりました。今回のオンラインツアーでも、全国各地で同時に「古葉刈り」を行うという、素晴らしい体験を実現してくれました。

大樹さん:
オンラインは便利なツールですが、手軽に繋がることができる世の中だからこそ、「見る」「聞く」「さわる」といったリアルな体験は貴重です。今後もより一層求められるようになると思います。
その点では、阿部家の盆栽は生き物。全てが体験につながります。その体験の提供は、今の時代を生きるぼんさいや「あべ」の3代目の僕の役割だと思っています。

まとめ

私はこれまで、盆栽のことを観葉植物のようにただ愛でるものだと思い込んでいました。
今回、大樹さんの想いを聞いて、盆栽の見え方が変わりました。盆栽ひとつひとつにストーリーがあって、ロケ地巡りのように「体験」につながっていくのですね。

盆栽を通じて「人と山」、そしてゆくゆくは「人と街」をつなぐ架け橋になりたい。そう話してくれた大樹さん。

41才の若き3代目の挑戦から、今後も目が離せません!

ぼんさいやあべ

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齋藤幸子(さいとうゆきこ)

レギュラーライター

齋藤幸子(さいとうゆきこ)

2010年に福島市に転入。WEB制作会社→銀行窓口業務→大学広報補佐を経験。2児の子育てをしながら、2019年より「福島に移住・転入した女性が、福島の暮らしの情報を発信するサイト tenten」でライター活動をはじめる。現在はフリーライターとして各種WEB媒体で執筆中。主に地域情報や生活情報の発信を行ってきたが、観光ノートのライターになり取材記事の沼にハマる。写真撮影、画像編集、マップ作成なども行う。

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