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「もったいない」を「美味しい」に! りんご農家に学ぶ「KAJUめし」
自然の恵みを最後まで使い切る。干しりんごで広がる食卓の知恵

りんごってたくさん買ったはいいものの、最後の1〜2個をなんとなく食べそびれて冷蔵庫にそのままに……なんてこと、ありませんか?
そんなときに提案したいのが「KAJU(果樹)めし」。
食べごろを過ぎたり、傷があるなどの規格外の果物も、干したり煮たり、ひと工夫するだけで長期保存が可能になり、食卓の彩りに大変身します。
教えてくれるのは、福島市で農業を営む油井妙子さん。50年以上にわたり農業と地域に寄り添いながら、“もったいない”をおいしく変える知恵を発信し続けています。今回は、油井さんが実演したレシピをご紹介します!
りんごを無駄なく活用!「KAJUめし」の実演
私たち福島市観光コンベンション協会が、規格外や食べごろが過ぎてしまった果物を活用した「KAJUめし」を提案する背景には、こんな思いがあります。
一般的な食品には賞味期限や消費期限が記されていますが、野菜やくだものには表示がないため、私たち消費者は自己判断で「食べられる・食べられない」を決めることがほとんどです。一方、生産者にとっては、売り時を逃してしまったものや傷がついて市場に出せなかったものも、手塩にかけて育てた大切な作物。知恵と工夫を重ねながら、日々の食卓で美味しく楽しんでいます。
「このような考え方やノウハウが私たち消費者にも広まっていけば、『規格外』という概念そのものも見直されていくのではないか」。そんな思いから、生産者に学ぶ「KAJUめし」を、ふくしまピーチホリデイ企画のひとつとして立ち上げることに。
こうして4月16日に福島市の吉井田学習センター調理室にて、油井さんによる「KAJUめし」の調理実演が実現しました。
今回メニューに使ったのは、干しりんごと、規格外のミソりんご(収穫から時間がたち、やや水分が抜けたりんごのこと)。干しりんごはJAの直売所でも購入でき、生りんごでの代用も可能。家庭でも再現できる春のりんごフルコースが披露されました。

りんごを使った食事系メニュー

干しりんごを使ったデザート系メニュー
- りんごぶかし(おこわ)
もち米に干しりんごと小豆を混ぜ、桜の塩漬けを添えた春らしい一品。
- りんごの白和え
ミソりんご、豆腐、糸こんにゃく、菜の花という意外な組み合わせ。 - キャベツと夏みかんのサラダ/切り干し大根と菜の花の味噌汁(りんご不使用)
- ドライフルーツのパウンドケーキ
干しりんご、ブランデー漬けの果実や煮大豆が入った贅沢なケーキ。 - きなこ棒
きな粉、はちみつにりんごなどのドライフルーツをミックス。 - アップルハーブティー
紅茶にレモンバームと生りんごまたは干しりんごを煮出した、リラックスタイムにぴったりの一杯。

KAJUめしの材料

どの料理にもふんだんにりんごを使用
この日は、調理室の窓から満開の桜を眺めることができる絶好の花見日和。実演で登場した「りんごぶかし」は、荒川桜づつみ公園が開園した年のイベントに合わせて、油井さんが考案したレシピだそうです。春の訪れを感じるこの季節にぴったりの一品でした。
白和えにはミソりんごが使われており、シャキシャキとした食感とまろやかな甘みのバランスが絶妙。どの料理からもりんごの風味がしっかりと感じられ、とても美味しくいただきました。
「料理でもお菓子でも、何にでも干しりんごを入れちゃうね」と笑う油井さん。日々の食卓に自然とりんごを取り入れる、その知恵と工夫が光っていました。
油井さん直伝! りんごのKAJUめしレシピ
りんごぶかし(おこわ)
【材料】
もち米 5合
小豆 2分の1カップ
干しりんご(細切り) 150g
りんごジュース 100cc
りんご酢 50cc
塩 少々
桜漬け 適量
【作り方】
- もち米を7~8時間水に浸し、炊く30分前に水を切っておく
- 小豆は1回目の煮汁は捨てて、15分ほど少しかために茹でておく
- ふかし鍋にあけ、布を敷き、もち米を20分蒸す
- 一度取り出してボールにあけ、以下を加える
– りんごジュース 100cc
– りんご酢 50cc
– 水 150cc(合計 300cc)←今回は桜漬けを浸して桃色水
– 塩 少々
– 小豆
– 干しりんごの細切り 150g - きれいにしたあけ布を敷き、再び蒸し器で10分ほど蒸す
- 完成したら桜漬けを散らして完成
りんごの白和え
【材料】
りんご 1個
木綿豆腐 2分の1丁
糸コン 1パック
菜の花 少々
にんじん 少々
砂糖 大さじ1
すりごま 大さじ2
(しょうゆ 大さじ1 or 塩少々)
【作り方】
- 皮をむき芯を取ったりんごを4等分にして薄切りにする
- すり鉢に水切りをした豆腐と調味料を入れ、すりこぎで全体がなめらかになるように混ぜ、衣をつくる
- 糸こんにゃくとりんごを加えて混ぜる
- 菜の花、にんじんの細切りをさっと茹で、水気を切って混ぜる
キャベツのサラダ
【材料】
キャベツ 葉を5枚ほど
夏みかん 1個
オリーブ油 少々
塩 少々
こしょう 少々
【作り方】
- キャベツを食べやすい大きさに切る(塩少々をふり、少ししんなりさせる)
- 夏みかんを小さくなりすぎないように取り出す
- 1に2を混ぜ合わせ、オリーブ油、塩、こしょうで味をととのえる
切り干し大根と菜の花のみそ汁
【材料】
切り干し大根 適量
菜の花 適量
みそ 大さじ1
だし
【作り方】
- 鍋に切り干し大根と水、だしを入れて火にかける
- 煮立ったら菜の花を加えて、味噌をとかし入れて完成
りんごのパウンドケーキ
【材料】パウンドケーキ型2本分
生地:
小麦粉 150g
ベーキングパウダー 小さじ1
卵 2個 + 水 = 200cc
砂糖 50g
米油 大さじ1
具①:
干しりんごの細切り 50g
煮大豆 100g
具②:
フルーツ漬け(ブランデー)
(りんご・干しブドウ)+干しりんご
【作り方】
- 小麦粉とベーキングパウダーを良くふるっておく
- 卵2個+水で200ccにし、混ぜ合わせ、砂糖と米油を加えよく混ぜる
- 1に具①、具②をそれぞれ入れざっくりと混ぜ、2を加え混ぜ合わせる
- 焼型に流し込む
- 180℃のオーブンで40分焼いて完成
きなこ棒
【材料】
きなこ 適量
ドライフルーツ 適量
ハチミツ 適量
【作り方】
- きなこを入れたポリ袋にドライフルーツを加え、よく混ぜ合わせる
- 1にハチミツを少しずつ加え、(やわらかくなりすぎないように) 粉っぽさがなくなるまでよくもむ
- 全体がよく混ざったら、調理台などに押し付けて厚さ1.5cmになるように手で押しのばす
- ポリ袋からまな板へ取り出し、2cm角に切り分ける
- 一つずつきな粉をまぶして完成
アップルハーブティー
【材料】
生りんごまたは干しりんご 適量
紅茶 適量
レモンバーム 適量
【作り方】
- 干しりんご(生りんごの場合は薄切りにしたもの)をお湯でゆっくりと煮出す(できれば5~10分)
- 1を沸騰させ、紅茶のティーバッグとレモンバームを入れて1分ほど煮出して完成
あなたも今日からできる「KAJUめし」
「自然の恵みを、最後まで使い切る」。それが油井さんの実践する「KAJUめし」の根底にある思いです。
もしも冷蔵庫にりんごが余っていたら、ちょっとアップルティーにしてみたり、晴れた日にベランダで干してみたり。ご家庭でもそんな小さな一歩からはじめてみてはいかがでしょうか。
今後もKAJUめしはシリーズでお伝えしていきますのでお楽しみに!
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